好きだけじゃ続かない

松田洋子の短編集。表題作の「好きだけじゃ続かない」。病床に臥せている母親が混濁した意識の中で、「家族が一番しあわせだった頃」の記憶で話をするシーンが涙腺崩壊してたまらない。人間そうなるものかもしれないなあ、などと思う。女の子は鈍臭い感じでかわいいし、田舎の情景も素朴でいい。ラストも素敵。「平凡なヨウコちゃん」。フィクションを織り交ぜた作者の幼児期の話。なんか山野一の「四丁目の夕日」を思い出した。登場人物もエピソードもかなり強烈で異様に面白い。母の幼少期の話も面白いけど、何と言っても祖母?がすごい。「青空必携1982」「ビックリハウス・ゲイトウェイ」。表題作は妄想で、こっちが真実のよう。