消された一家 北九州・連続監禁殺人事件

北九州監禁殺人事件を追ったノンフィクションのルポルタージュ。事件の加害者、被害者の公判証言を元に事件の実態に迫って行く内容。著者は、この事件の裁判の判決に間接的に影響を与えたというすごい人。

被害者、加害者の心理を理解しようと思って自分に置き換えて想像したり、考えたりしながら読み進めていく内に、気持ちが内側に入って行くような感覚になって、加害者の洗脳、マインドコントロールを擬似的に味わってるような気分になってくる。気分が悪くなって来る反面、妙に心地良さも感じてしまう自分の性向というのは危険かもしれない。この加害者に関わってターゲットにされながら命からがら逃げ出せた人もいるし、関わりを持ちながら何の被害も受けなかった人も当然いるわけだけど、自分がもしこの加害者に関わった時に、正常なまま、何の被害もなく切り抜ける自信は全く無い。尼崎の事件もこの事件を模倣したようだけど、この本でありこの事件が犯罪の手引書になって、第2第3の松永を生み出してるのかもしれないと思うと空恐ろしくなって来る。被害に遭わないためには、この手の本を読むという事も防御策のように思う。最後の被害者が出てから、監禁された少女が逃げ出して通報するまで4年の間の記述が少ないのは取り立てて書く事がなかったのかもしれないけど、どういう風に過ごしたのか気になった。

http://ja.wikipedia.org/wiki/北九州監禁殺人事件

消された一家―北九州・連続監禁殺人事件 (新潮文庫)

消された一家―北九州・連続監禁殺人事件 (新潮文庫)