最近見た映画3本

伊丹十三監督の「ミンボーの女」「マルサの女」「タンポポ」の3作。

タンポポ」は以前に2回くらい見た覚えがあるんだけど、内容を全く覚えてないので(牡蠣のシーンは子供の頃にテレビで見て強烈に印象に残ってるけど)改めて見てみた。見直して分かったけど、この映画、ストーリーが無いからあんまり覚えてないんだな。一応メインストーリーとなる、寂れたラーメン屋の立て直しというのがあるけど、それよりも間に入る本筋のストーリーと関連しない食をテーマにしたショートストーリーの方が面白い。メインの方があんまり面白くないので、途中で飽きてしまった。

タンポポ<Blu-ray>

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ミンボーの女」は痛快な娯楽エンターテイメントで、裏社会の暗部に切り込んでる社会派作品なのに、コミカルでテンポが良くとにかく見てて楽しかった。理不尽な暴力団を論理で完膚なきまでやっつける爽快感は他ではなかなか味わえない。この映画の後に暴行事件があった事を思うと、映画と現実が地続きになっているという本物の怖さがあり、ただの劇映画の中のお話という感じが全然しない。アンダーグラウンドな監督なら分かるけど、商業映画のヒットメイカーがこういう挑戦的な映画を撮ったというのが凄い。かなり挑発的な描写もあるので、報復を受けたのも仕方ないかなと見ながら感じた。大地康雄村田雄浩の弱腰社員コンビが逞しく成長して行く姿に感情移入しやすかった。

ミンボーの女<Blu-ray>

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マルサの女」はとにかく山崎努演じる権藤の悪漢ぶりが格好良かった。極道や政治家とパイプを持つ巨額脱税者だから、徹底的に悪い男に描いても良さそうなもんだけど、人間的魅力に溢れる可愛い男に描いてるのが凄く良かった。敵対するマルサの板倉亮子と不思議な友情関係を築いて行くのが自然に感じられるほど魅力的だった。悪者は徹底的にやっつけろ的な勧善懲悪ものが苦手な自分としては、人間の多面性を描いたこの作品がとても心地良く感じられた。

マルサの女<Blu-ray>

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