ザ・ノンフィクション・中年純情物語〜地下アイドルに恋して〜

秋葉原の地下アイドル「カタモミ女子」の小泉りりあに恋をした、53歳の中年独身男性「きよちゃん」の姿を追ったドキュメンタリー番組。テレビに出るような有名アイドルと違って、実際に会って話したり、触れ合ったりするのが地下アイドルの特殊な所で、恋愛感情を抱いてしまうのは自然な事のように感じる。りりあの方はきよちゃんに対して恋愛感情は抱いてないけど、それとは別種の愛情や思いやりの気持ちがきよちゃんに対して、自然に芽生えてるのが素敵だった。仲の良い父と娘の関係に見えたりした。

ただ、りりあがグループ脱退を発表した後にきよちゃんに対して「だからもっと応援してって言ってたんだよ」と言うシーンは一番応援してくれた熱心なファンに投げかける言葉としてどうかと思った。VTRに映ってない色々な事情があるのかもしれないけど、そこは何より感謝の言葉をかけてあげるべきだったように思う。そもそも一人の人がたくさん応援しないと首が回らない状況に問題があったんじゃないのと。そのシーンを見てた時は、きよちゃんと代え難い信頼関係が生まれてると感じながら見てたのは全部幻想だったんじゃないかと思ってしまった。

きよちゃんの友達でどこか冷静にこの地下アイドルシーンを見つめてるたかさん、ビジネスライクな支配人のとっきー、カメラに向かってグループの現状にぶっちゃけた不満を漏らすカタモミ女子の他メンバーなど、2人を取り巻くバッググラウンドのキャラクター達もみんな癖が強く魅力的なのも良かった。りりあ含む主要メンバーの脱退を知らされて茫然自失になるきよちゃん&たかさんの素の表情を物語のクライマックスに持って来れたのは展開上手すぎる。