R-1ぐらんぷり2016

準決勝を踏まえて印象の違いを中心に各組感想。


エハラマサヒロ
コント。めっちゃ熱くてめっちゃ鬱陶しい音楽プロデューサー。今回のファイナリスト選出に関しては全体的に納得感がないというか審査員と好みがズレる所が多かったんだけど、その中でも一番不可解だったのはエハラマサヒロの選出だった。改めて見てもその印象は変わらず。キャリアがあって認知されてる人を、新たな面を見せた新ネタならともかく、よくやってるキャラの有りネタで決勝に上げるというのがよく分からない。こういう大会って、全国ネットのテレビ初出演位の超新星や、初ファイナリストが出て、どんな活躍をするかという所が見所だと個人的に思ってるので、この選出は意外に感じたし面白味を感じなかった。ネタの内容としても、「ドラえもん」の歌を薬物ネタに絡めるという不謹慎なもので、素直に笑えなかった。日曜7時のほのぼのした時間帯に流すのに相応しい内容ではないと思う。

●小島よしお
よしお3兄弟。準決勝同様、めちゃめちゃ盛り上がったし楽しい気持ちにさせてくれる、良い仕事っぷりだなあと思う。賞レースで見たい雰囲気のネタじゃないけど、まあそれも含めて小島よしおらしいパフォーマンスで良かったと思う。他にしっかりしたコントや漫談をやる人がいて賑やかしで終わって丁度良いくらいのネタではあるけど、Aブロックは他に票を入れたくなるような人がいなかった。

シャンプーハットこいで
フリップ。食物連鎖。ここの選出もよく分からない。今回は本当に存在感がなかった。フリップの見せ方の新しさや小出水さんのイラストが良かったという事かもしれないけど、ネタ自体はグロテスクで変態チックないつもの小出水さんらしいワールドで特に大きく受ける所があるわけでもなく、お客さんに伝わるわけでもなく、まあ普通というかいつも通りの内容で何故今回ピックアップされたのかよく分からないというのが正直な所。

●サンシャイン池崎(復活ステージ3位)
心理イェイ。準決勝で見た時もよく分からなかったけど、改めてテレビで見てもよく分からなかった。後でもう一度じっくり見てみるけど、このネタ、心理テストを扱ったネタとして成立してない気がする。「セルフサービス」の件やお客さんに手を挙げさせる件は面白いと思うし、ハイテンションギャグとして見たら部分的に面白いけど、心理テストのネタとして見ると支離滅裂で複雑すぎて何をやってるのか分からない。

ハリウッドザコシショウ
ものまね。とにかく圧倒的に受けてて面白かったんだから勝ち上がりに何の不満もない。こういうジャンクなあらびき芸が勝つのはどうなのかという思いもあるけど、正統派のコントや漫談でずば抜けた人が居なかった。同じテンション系のサンシャイン池崎と比べると、ネタが整理されててシンプルで見やすかった。

●おいでやす小田
コント。コンビニの面接。正統派のコントで一番面白くて良く出来てたのはおいでやす小田だったと思う。ザコシショウとブロックがばらけてたら2本目次第で優勝の可能性もあったと思う。まあ今回は何にしても全組がザコシショウに食われた感はあったけど、直後の出番で一番煽りを受けながらも健闘したと思う。展開ボケを一人コントの世界に見事に落とし込んでいて、演技や台本のレベルが高かった。

横澤夏子
プロポーズ。準決勝で見た時も何が面白いのかよく分からなかったけど、改めて見てもよく分からなかった。代表作である「音楽の先生」なんかと比べても笑いどころが弱い気がしてならない。この人はハートフルなネタより、悪意のある斜め目線のネタの方が面白いと思う。事前番組でチラッと流れたホステスのネタの方が自分は楽しめる。準決勝とオチを変えてたけど、個人的にはどっちもしっくり来ない。準決勝での落とさないオチというのは、コントの鉄則としてどうかなと思う所はあったけど、なかなか思い切って新しい事に挑戦してるような印象を受けた。決勝での改変したオチは、詳しく知らないけど、ティファニーのキーケースはちょっと無理矢理が過ぎると思う。

●ルシファー吉岡(復活ステージ2位)
コント。小学校の先生。個人的にこういう全面的な下ネタというのは、深夜番組やライブならともかく、全国ネットのゴールデンで放送する賞レースには相応しくないと思ってるから、どんなに良く出来た面白いコントだとしても、選出された事自体に違和感を感じる。準決勝後にたびたびファイナリスト有力候補に名前が上がってるのを見て、「お笑いファンはどうかしてる」と思ってた。その考えというのは決勝でのルシファー吉岡のコントを見ても全く変わらず。このコントは決勝レベルで面白いと思うし、ルシファー吉岡は大好きだけど、こういう場では見たくなかった。これをきっかけに不快に感じてチャンネルを変えたり、お笑い離れする人達というのは絶対いると思うから、選ぶべきじゃなかったと思う。

●厚切りジェイソン
漫談。ことわざ。誰が見ても楽しめるネタだし、面白いんだけど、日本人からしたらことわざはおかしいって結構定番ネタなんだよな。進化したと言ってたけど、題材を変えただけでネタ自体は同じでそれほど進化したようには思わない。負けるが勝ちの件、日米関係を準えてるのかなと思ったけど、考え過ぎか。

ゆりやんレトリィバァ
コント。テンパった時の対処法。3分バージョンで見たのは初めて。R-1の決勝の舞台で見るのがしっくり来るポップで楽しいネタ。当たり前の事を堂々と言うだけのネタなので大笑いは出来ないけど、音楽だったり、ヘンテコな踊りだったり、ゆりやんのビジュアルだったり、変なキャラ付けだったりという演出がネタにすべてマッチしてて何とも言えない、ゆりやんらしい愉快なひとり芸になってると思う。

●とにかく明るい安村
コント。高校野球講座。記憶違いだったら申し訳ないけど、準決勝からブラッシュアップしてちょっと良くなってた。とは言ってもこういう癖のある変な喋りネタって定番ネタになりつつあるので今更感があって自分としては物足りなかったけど。他にもっと新しい事をやってる人達、準決勝に居たと思う。審査員の票が思ってたよりもずっと入ってたのが意外だった。

●マツモトクラブ(復活ステージ1位)
コント。父子の再会。3回戦、準決勝、復活ステージ(決勝)とネタを変えて来て、準決勝のネタはそんなに良くなかったので、決勝にストレートイン出来なかった事には何の不満もない。このネタも良かったけど、復活1位という目線で見るとちょっと物足りない感じはした。板尾さんが言ってたようにブツ切りの作りで大きな笑いが無かった所は自分も同様に感じた。ちょっとハートフルな方向に振り過ぎた感がある。音楽やボイスの使い方や雰囲気のある芝居など独特な味のある世界観のコントで好きではあったんだけど。正直Cブロックは、ゆりやんかマツモトクラブかどっちでも良いと思ったし、どっちが勝ち上がるのか分からなかった。

●ファイナルステージ(小島よしお、ハリウッドザコシショウゆりやんレトリィバァ

ゆりやんは揃えるなら揃える、別なら別が良かったんだけど、別なのに揃えちゃった感じでネタが伝わり難かった。小島よしおは、昔からやってる有名なネタをやり続けて、時代に合わせて改良しながら準優勝まで行っちゃうんだからすごいと思う。とにかくこの人がテレビの画面に出るだけで明るくなるし楽しい気分になる。ザコシショウは古畑一本で行くかと思ってたけど(それでも勝ってたと思う)こっちの方が良かったかもしれない。勢い任せのジャンク芸のように見えて、昔よりも分かりやすく伝わるように工夫されてると感じた。