いつかのホームラン

「かっとばせ!キヨハラくん」の作者、河合じゅんじによる短編作品。

「かっとばせ!キヨハラくん」は1994年に連載終了して、2014年から「コロコロアニキ」で再開されたものの、清原の事件を受けて休載する事になる。

この作品はそんな作者の今の状況をそのまま描いたエッセイ風漫画。清原の事件を受けて元気を失い、仕事も失うかもしれない状況に置かれた作者が少年野球の試合を見て、励まされるというシンプルな内容。台詞は殆どなく、人によっては退屈な作品かもしれないけど、自分のように幼少時代にコロコロで「かっとばせ!キヨハラくん」を夢中で読んで、それをきっかけにしてプロ野球が大好きになった人間にとっては、この作品がこれだけ時間を経過してこういった形で本当の意味でのエンディングを迎える姿というのはしみじみ胸に迫るものがあった。14ページの短い作品だけど、野球の面白さや魅力が素朴に描かれていて、今のプロ野球に幻滅しても野球というスポーツの価値は永久不変だなと思った。