キングオブコント2018 ファーストステージ

 

 

ファーストステージ

 

やさしいズ(「会社へ復讐」)419点

マヂカルラブリー(「傘泥棒」)443点

ハナコ(「犬」)464点

さらば青春の光(「予備校」)463点

●だーりんず(「会計」) 437点

●チョコレートプラネット(「脱出ゲーム」)478点

●GAG(「居酒屋アルバイト」)437点

わらふぢなるお(「コンビニ店員」)468点

●ロビンフット(「結婚」)462点

●ザ・ギース(「サイコメトリー」)458点

 

 

 

ファイナルステージ

 

ハナコ(「つかまえて」)472点(合計936点)

わらふぢなるお(「超能力者」)454点(合計922点)

●チョコレートプラネット(「大工の棟梁」)440点(合計918点)

 

 

 

個別のネタの感想ではなく、番組全体の雰囲気から感じた事を順を追って書いていきたい。

 

●大会の雰囲気〜トップバッターやさしいズ

 

松ちゃんが意識的にやっていたお陰で大分和らいだけど、それでも今年のKOCの雰囲気はかつてないほど重かった。ファイナリストシークレットという演出による所もあるけど、何と言っても大会直前に発覚したバナナマン日村さんの淫行報道による影響が大きいと思う。「重い」というより「変な空気」でそれを払拭しきれない状態のままスタートしてしまった。トップバッターで無名のやさしいズは、その変な空気にやられたという感じがしてる。勿論、そんなの関係無しにやり切らなければ勝てないわけだけど、自分はどちらかと言うと、ただでさえ不利なトップバッターにやりにくい空気のままバトンを渡す事になった今回のKOCは準備というか用意としてまずいと思うし、やさしいズに同情してしまう。

ただこのコンビはネタは面白いし、それは今回のネタである程度伝わったと思うし、挽回のチャンスはまだまだある。今回の評価は「キャラネタの人がキャラに入り切れてなかったら評価の仕様がない」という事だと思う。

あと決勝で評価される傾向として、共感性とリアリティがあるか、というのが大きいように今回見て改めて感じたけど、このネタは映画やドラマではありそうだけど、現実にありそうかというと距離を感じる人の方が多いと思うので、題材的にもう少し身近なものの方が良かったのかなという気はしている。

 

マヂカルラブリーハナコ

 

マヂラブは昨年のM-1を経てすごい良い雰囲気になっている。滑っても受けてもOKというポジションは賞レースではありがたい存在。で、そのくだらなさとか、どうでもよさみたいな軽さがこの重苦しい決勝の雰囲気を払拭してくれたと思う。トップがマヂラブだったら大会全体の滑り出しがもっと潤滑だったと思う。キャリアがあるだけあって、どんな状況であれ自分達の空気に持って行ける強さを感じた。ネタも準決勝一日目のものよりも良かったし、来年のKOCもそうだけど、ネタ番組中心に露出が増えると思うと嬉しい。

ハナコは共感しやすいネタでストーリーがシンプルで分りやすかった。これは「犬を飼ってる人あるある」という事じゃなくて「動物が人間と同じように物事を感じていたら」という誰しもが思うあるあるネタだと思う。ファンタジーのようでしっかりとリアルを描いている新しいコント。古典的な設定だけどここまで緻密に描いたコントはなかった。

 

さらば青春の光〜だーりんず

 

今回のさらばは面白いネタ、すごいネタである事は間違いないと思うけど、跳ね切らなかった。共感性とリアリティに欠けるのが要因かなーと思う。「こういう職業の人はいないけど、こういうおじさんはいる」というラインは絶妙と言えば絶妙だけど、「こんな人予備校にいないでしょ」と思われたら終りというか、分からないとかついていけないという感覚の人も出てくる。その発想だったり創作性というのがさらばの魅力ではあるけど、分かりやすい共感性のあるコントと比較するとその辺が嵌り切らない要因になってるように思う。潔く卒業して次のステップに進むのは応援したいとも思うけど、キングにならずに卒業していいのか?という想いの方が強い。だーりんずはオーソドックスなコントを丁寧に作り上げている印象。会場、いくらなんでも受けなさすぎだろうと思うけど、大きな笑いを生んだり新しい感覚が盛り込まれているネタだったりというわけではないので、しょうがないのかなと。決勝二本のネタの平均の高さで勝ち上がったという感じだけど、やはりこの予選のシステムだと「一本目の勝負ネタなのに印象が弱い」という事態を生みやすいので改悪だと思う。まあ今回の一番の改悪は上位3組だけ最終決戦進出にした事で、さらばやロビンフットの二本目を見せられなかった事だけど。一本目が飛び抜けたネタと限らないし、二本目もまちまち、しかも上位3組のみというのは面白いコントを見る大会のシステムとして、以前と比べて悪化してる。ファイナリストが小粒だったという見方も出来るけど、自分にはシステムに対する懐疑心の方が強い。

 

●チョコレートプラネット〜GAG

 

ナンセンスでバカバカしいコントだけど「人の話をちゃんと聞かない」「上手く会話がつながらない」というのは共感性が高くて分かりやすい。審査員が「噛み合ないまま物語が進んで行く面白さ」といったような意味の事を言っててなるほどなあと思った。予選で見た時の方が面白く感じたけど、その一番の要因って決勝の客が若い女性のみ、しかも少ないという所なんじゃないかと思ってる。GAGは特に宮戸さんの女装コントが軸になってからいまいちに感じてるけど、今回のネタは結構良かったと思う。80年代のラブコメみたいな雰囲気とGAGの持ってる垢抜けなさがマッチしていて自然に楽しめた。ワードが強いしストーリーが凝っていて面白い。

 

わらふぢなるお〜ロビンフット

 

わらふぢは予選でこのネタを見た時、はっきりとしたルールやキャラクターがあるネタだから決勝向きに感じたけど、ここまで嵌るとは思わなかった。二人の持っている雰囲気と演じてるキャラクターがすごく合ってると思う。一本調子に「質問」に終始しないで色んな場面があって、それが笑いどころを作ったという感じでは無く、自然なやり取りに感じられて良い。

ロビンフットは、おぐさんの事が本当に大好きで、客観的に見られてない部分もあるのかなとも思ったけど、周囲の人の感想や5ちゃんを見ると評判が良いので嬉しい。自分は1本目で言えばロビンフットが一番良かった。「恋人の年齢を知らない」という出発点から論理をひとつずつ積み上げていって大きな笑いへと膨らませて行くのがすごい。論理的なネタでありながら、年老いた父子の思いやりだったり、優しさが滲み出て人間ドラマになるのはおぐさんの人柄なんだろうと思う。温かい気持ちになって思い切り笑えるいいお笑い、いいコントだと思う。最終決戦に残れなかったのは残念だけど、決勝でこのネタを見れたというだけで満足出来る所があった。

 

●ザ・ギース

そんなに嵌ってない箇所を繰り返してもなーというのが素朴な感想。準決勝一日目に見たエレベーターのコントの方が面白いと思った。ギースはネタの発想や演出が面白いし新しいと思うけど、笑いのセンスの部分で自分とは合わないと感じる。

 

キングオブコント2018