R-1ぐらんぷり2019

 

Aブロック

 

● チョコレートプラネット松尾(コント「IKKOさん」)

クロスバー直撃 前野悠介(「動体視力テスト」)

こがけん(コント「マジカルマイク」)

セルライトスパ大須賀(漫談「父親になって思うこと」)

 

Bブロック

 

●おいでやす小田(コント「勝ち組」)

霜降り明星 粗品(フリップ「夢」)

ルシファー吉岡(コント「女子高生」)

●マツモトクラブ(コント「ジョン」)※敗者復活2位

 

Cブロック

 

●だーりんず 松本りんす(「カツラ芸」)

河邑ミク(コント「大阪の学校に転校する」)

三浦マイルド(フリップ「広島弁漢字ドリル」)

岡野陽一(コント「鶏肉風船おじさん」)※敗者復活1位

 

最終ステージ

 

セルライトスパ大須賀(コント「囲まれました」)

霜降り明星 粗品(フリップ「夢」)

●だーりんず 松本りんす(「カツラ芸」)

 

 

 

各組一言ずつ

 

チョコレートプラネット松尾

予選でやや受けだったネタをブラッシュアップして仕上げた事や、チョコプラの人気や今の勢いが後押しした事、そもそもテレビサイズのネタだった事などの要因が重なって、思っていた以上に、R-1の決勝戦映えする、トップバッターに相応しいコントに感じられた。今回のR-1の明るく楽しい雰囲気を作った一番の貢献者といってもいいと思う。

 

クロスバー直撃 前野悠介

昨年の準決勝ネタを少し変えて、形をはっきりさせたようなネタだったけど、自分は昨年のネタの方が面白く感じられた。小道具のパートは、そもそも料理が何なのか認識できなくてモヤモヤする所があった。小道具パートの後半はヘンテコ発明道具みたいなものが続いたけど、料理で統一した方が見やすかったように思う。受けが強いメルカリの方が短かったりと3分ネタの構成として、上手くまとまってないように感じる。ここはもしかしたらライブで引きの絵で見た方が面白く感じられたのかもしれない。

 

こがけん

直訳ではなかったり、節にあわせず歌ったりという所で分かり難いかもと思ってたけど、それって細かい事であって、寧ろ、型通りに英語で歌わないという所がこのネタの面白さであり魅力なんだなーと思った。ポップなネタを求める観覧客にハマって予想以上に受けていた。結局審査ってそんなものでしかないというか、どういう人達が見るかで評価が丸っきり違ってきて、どれが正しいというものでもなくどれも正しいというものであると思う。もう少し客層が上の世代だったらこんなに受けてなかっただろうし、コアなお笑いファンが見ても変わってくる。だから審査員は、芸人という縛りはありながらも性別、世代、出身、芸のスタイルが異なる人達が務めていて偏りをなくしているんだと思う。自分がこのネタで良いと思ったのはとにかく題材を分かりやすくしている所。選曲、服装、「100万円」、マジカルマイクという名称、とにかく分かりやすく変に引っ掛かりを持たせないでスッとネタに入れる。あのアキバ系っぽいオタクファッションだって、かなり昔のオタク像だと思うんだけど、それでもやっぱり多くの人が思い浮かべるオタクはあの姿だと思うからしっくり来る。R-1は質の高い漫談やコントがしっかりと評価される一方で、キャラクターとアイディア一発勝負の「エンタの神様」に近い大会であると言う事に対して意識的に感じられて、そういうネタがしっかり決勝に上がって受けているというのはすごく真っ当な事に感じる。

 

セルライトスパ大須

ネタについては文枝師匠のコメントに尽きる。独創的で新しかった。見てる時は意識しなかったけど、つぶやきシローに近いかもとは思う。上のネタ演目一覧の所には「漫談」と表記したけど、厳密に言えば「コント」かもしれない。「赤ちゃんを抱えながら漫談をする芸人」という。なので二本目で設定を変えてもあまり違和感がなかった。

 

おいでやす小田

このネタは小田さんがやるからこそ面白いという所があったと思う。成功者を演じる小田さんのキザな芝居の時点で面白い。小田さんは事前番組も含めて、この大会に欠かせない存在になってきている。愛されいじられキャラというのか。この大会関連以外ではほぼ見ないというのも愛される要因かも。同点で負けるというのは小田さんにとっては良い負け方だったと思う。 

 

霜降り明星 粗品

なかなか決勝に上がれずに色々趣向を凝らしていたけど、結局、若い頃に初めてやった時のパジャマ姿でやるナンセンスな高速フリップネタが一番面白かったという事なんだと思うし、予選審査員には今までハマらなかったけど、粗品もファンもその思いだったんだと思う。昔からやってるネタだけど、新しいネタも織り交ぜてあって、集大成のような内容で素晴らしかった。昔からやってるネタであればもっと早くに決勝に上げていれば優勝していたのではという疑念はあるけど、霜降り明星M-1を優勝して粗品の笑いというものが共有されている今だからこそというのはあるし、細かく見ていけば、言葉選びや台詞回しは確実にお客さんに届くように技術的な進化をしているとも感じる。

 

ルシファー吉岡

ネタ自体はすごく面白いけど、毎年R-1の決勝の舞台だともうひとつしっくり来ない。下ネタではないので笑いやすいけど、「女子高生に一喜一憂する男性教師」というのは見る人を選んでしまうなーと。予選ほど受けてない。

 

マツモトクラブ

準々決勝で「よっちゃんラーメン」のネタを見て今年こそはマツモトクラブ優勝だと確信して、ファイナリストに残れなくても敗者復活からの優勝と思っていたんだけど、ネタを変えるとは。この人のネタ選びのセンスがよく分からない。優勝を逃し続けてる要因はそこかも。たとえ勝てなくても「よっちゃんラーメン」をもう一度見たかった。今回披露したネタは、過去にテレビでもやった事のある旧作ネタ。笑いの印象がやはり弱い。ネタが違う事が残念で、ネタの内容がしっかりと入って来なかった。

 

 

だーりんず 松本りんす

これもこがけん同様、R-1決勝映えするショーっぽいネタ。このネタが優勝と言うのも分かりやすくていいと思うけど、バリエーションに乏しかった事もあり、やや地味に感じられる。ゆったりしたテンポはこの人らしい持ち味だと思うけど、そうであればもう少し強いパンチが欲しかった。ただもしかしたら今回のR-1の後、一番仕事が来るかもしれない。

 

 

河邑ミク

大阪ディスネタはちょっと定番ネタすぎて印象が薄かった。いいフレーズはたくさんあったけど。準々決勝でやったエクソシストのネタの方が良かったと思う。このネタだと事前VTRや写真でぶりっこっぽく振る舞ってるのが地なのかネタなのか、見ている人に伝わり難い。

 

三浦マイルド

活動実態は知らないけど、普段のライブとの客層が違い過ぎるのか、言葉が聞き取り難かったり、フリップに手間取ってテンポを乱したり、本領を発揮出来なかったように感じた。R-1はライブよりテレビでネタをやるのに慣れてる人の方がホームでやりやすさがあるのかもしれない。ネタはすごい面白かったけど、優勝した時のネタと似てるから票を沢山入れるのはどうなのかという葛藤が審査員にありそう。

 

岡野陽一

他の巨匠のネタやピンネタと比べると、奇妙な話に終始するのではなく、小道具を使って画を広く使うという違いがあり、岡野さんなりにR-1決勝戦に寄せた、決勝の舞台向きのネタなんだと思った。ただストレートインならともかく、敗者復活で勝ち上がってくるにはあまりに一般受けしないネタだよなーと思ってしまう。お笑いファンには受けるけど一般受けしにくいネタを上げてしまうのであれば、お笑いファンによるオーディエンス投票も考えものだなと思う。まあ一組くらいエキセントリックなコントがあって良かったと思うけど、よりによって敗者復活1位、ラスト出番というのはどうだったんだろうかという思いが拭えない。

 

R-1ぐらんぷり2019 公式サイト