R-1ぐらんぷり2015感想

今年は準決勝を観覧してきたので、その時とテレビの印象の違いを中心に軽めに感想。

決勝トーナメントAブロック。

ゆりやんレトリィバァ。コント。授賞式のスピーチ。トップ向き、テレビ映えするネタでAブロックでは圧倒的に良かった。爆発的なフレーズがちょっと足りないかなという心配もあったけど、同じブロックの他の組がちょっと評価し難いネタが多かったのに助けられた。

あばれる君。コント。浣腸。準決勝でやった「連続完封記録」をやらずに小学生同士の抗争を描いたこのネタをチョイス。以前に見た時はもっと面白く感じたんだけど、今回はあんまり良くなかったな。もっとストレートな、切ないシチュエーションで「月光」ネタの方が良かった気がする。

とにかく明るい安村。全裸ポーズ。いくら受けても票は集まらないだろうと思ってたけどやっぱりそうだった。ライブで見ると盛り上がるし一体感みたいなものもあるから楽しいんだけど、テレビの画面越しに見ると、結構普通というかあらびき団的な一発芸の最新版にしか見えないんだよな。

COWCOW山田善し(復活ステージ3位)。コント。テトリス。モニター使ってテトリスって陣内っぽいネタだなと思って見てたけど、全編通してそういうネタだったな。テトリスの画面がレストランになる、というアイディアは面白いと思ったけど、そこから先がもう一つ物足りなかった。空白のスペースに形に合ったピースが嵌るならすごいと思うけど、あんな歪なワニはいないし、最後にまとめて出て来たものは識別すら出来なかった。その辺の無理矢理感がどうも粗っぽく感じてしまう。

決勝トーナメントBブロック。

厚切りジェイソン。ボード。漢字。ネタ振りの喋りが短いので、面白いポイントが伝わり難く感じた部分はいくつかあった。「円」が四角いとかちょっと考えないと分からない。準決勝の時の方が演技に熱があったように思うけど、遠目に見たからそう感じただけかもしれない。もっと違う言葉のチョイスでも良かったかなと思う。「努」は下ネタとして引かれるようなものではないけど、女性差別的な匂いを少しだけ感じたりもした。

エハラマサヒロ北斗晶漫談。準決勝で見た時は盛り沢山の内容でものまねもどれもテクニカルで笑えたんだけど、こういう場で見ると、小ネタの羅列になってる構成が票が集まらないタイプの芸に感じてしまう。

アジアン馬場園梓。コント。スーパーのレジ。やっぱり後半の印象が薄いな。大きな場面転換があるネタなのに、中ヒットみたいな小粒なボケが続いてしまう。一人コントらしさのあるネタだし、雰囲気とキャラクターがあるので楽しめるけど、一つ二つ物足りない。

マツモトクラブ。(復活ステージ2位)コント。ストリートミュージシャン。全く名前がない芸人が決勝の舞台で大受けして結果的に準優勝という所まで行ってしまうのは、売れない芸人さん達にとって夢のある大会になって良かったと思う。見る側としてもキャリアも知名度もある人が、テレビでやったネタばかりを披露する大会だったら面白くない。準決勝で見た時は、斬新だし面白いネタだけど、決勝では受けないタイプの、分かり難いネタかなあと思ったけどそんな事は全然なかった。2本目もそうだけど、話の起承転結や状況設定がしっかりしているネタは分かりやすいしそこを評価されたんだと思う。

決勝トーナメントCブロック。

NON STYLE石田明。フリップ。クリーム。準決勝と変えて来るかと期待したけど同じネタだったな。改めて見ても決勝に上げない方が良かったとしか思えない。漫才師としてトップクラスの実力者でも、ピン芸というのは全く別世界のようで終始緊張して口が回ってない。ボケフレーズを2回も噛むというのは致命的だった。

やまもとまさみ。コント。寺野先生。俺はこのネタあんまり好きじゃないんだけど、茶の間票を抜けば、じゅんいちダビッドソンと同票、審査員からのフォローコメントもいくつかあり、評価は高いんだな。会場はあまり受けてないように感じるし、人によって評価の割れるネタなのかも。演技やストーリーは良いけど、ベタすぎて古臭く感じるんだよな。

じゅんいちダビッドソン。本田のショートコント。自身のネタを解説するメタ構造だからなのか、決勝の場にビシッと嵌って、空気を全てかっさらうという程の所までは行かなかった。徐々に徐々にじわじわ嵌って来た感じ。まあそういう芸風だから良いのかもしれないけど。結構分かり難くてややこしい事をしてると思うんだけど、一方で分かりやすさも感じてしまうのは、「じゅんいちダビッドソンの本田」というキャラクターが確立されてるせいだろうな。本田のインタビュー映像とか殆ど見た事がないけど、多分別物だと思う。

ヒューマン中村。フリップ。モテない僕らの五七五。R-1に限らずネガティブだったり暗いネタは決勝の場では受けないと思ってるので、このネタと分かった時点で勝ち上がりはないだろうなと思った。ネガティブが行き過ぎてボケキャラになる位のネタじゃないと。このネタなら他の人を上げた方が良かったと思う。

各ブロック勝者、ゆりやんレトリィバァ、マツモトクラブ、じゅんいちダビッドソンによるFINAL STAGE。

ゆりやんレトリィバァ。コント。女スパイ。あるあるネタとしては割とありがちで分かりやすい感じではあったけど、雰囲気作りというか見せ方が上手かった。コントの芝居の中にネタをしっかり落とし込んでる。ただ、やっぱり爆発ポイントが無いんだよな。

マツモトクラブ。コント。願掛け。1本目と遜色無いレベルの面白いネタで驚いた。3分の短いネタ時間の中にこれだけ笑いの密度があって、早い展開で進んでいく流れはスリリングで楽しい。己のフィジカルのみで爆笑をかっさらったじゅんいちとは明暗が分かれたけど、この緻密でエッジの効いたストーリー構成と、共感しやすいあるある感の両立はすごい。

 じゅんいちダビッドソン。スーパーのクレーム対応。寧ろ1本目のネタよりも本田キャラの持ち味を存分に発揮してる。こっちは音声を使ってないけどコミニュケーションになっている、という強さを感じる。マツモトクラブもすごいけど、このネタも一分の隙もない位に練り上がってると思う。キャラ先行だとネタが粗っぽかったり持ちギャグ頼りだったりする事が多いけど、とにかくネタがしっかり作られてて面白かった。優勝に異論無し。