R-1ぐらんぷり2020

 

Aブロック

 

●メルヘン須永(「フリップ+ものまね「SNS事件簿」)

●森谷日和(コント「取り調べ」)

●SAKURAI(歌ネタ「どうしても伝えたい事」)

野田クリスタル(コント「桃鉄」)

 

Bブロック

 

ルシファー吉岡(コント「缶コーヒー」)

●ななまがり森下(コント「乳首を隠せない男」)

●ほしのディスコ(コント「隠し事」)

すゑひろがりず南條(「今昔またぎ」)

 

Cブロック

ヒューマン中村(コント「妖精」)

●おいでやす小田(コント「借金の取り立て講座」)

ワタリ119(フリップ「高速フリップ」)

●大谷健太(フリップ「早口言葉」)※敗者復活戦勝者

 

最終決戦

 

野田クリスタル(コント「モンスト」)

すゑひろがりず南條(「今昔ベストテン」)

●大谷健太(フリップ「2コママンガ」)

 

 

 

 

勝戦のネタ、事前番組、事後番組、予選ひっくるめての各組の感想

 

メルヘン須永

3回戦でアニメネタを盛り込んだネタを見て、これは楽しくて良いなと思ったのを覚えていて、準決勝で「SNS事件簿」をやったと聞いて嫌な予感がしてたけど、やっぱり「SNS事件簿」はあまりハマらなかった。単純にいろんなモノマネネタが入っていた方が楽しくていいと思う。沢口靖子の格好をしていないメルヘン須永を見たのが今回の決勝進出で初めての事だったり、トークパートでオタクっぽい一面を覗かせたり、いろんな事が知れて楽しかった。

 

守谷日和

最近のR-1ってどちらかと言えば、オールザッツやあらびき団的なインパクトがあってカテゴライズできないような芸が求められてる所があるので妙に真面目に見えた。森下さんや野田さんはかつてあらびき団に出ていて、あらびき団でやるような変なネタで跳ねた事からもその傾向は顕著に現れてる。関根さんが褒めていた表情や言い方、仕草の方が印象に残った。考えてみたらネタより人の印象が強く残ったと言う事は、タレント適正と言う意味では、メルヘン須永もそうだけど、適しているのかもしれない。R-1で優勝したり決勝常連になる事も素晴らしいと思うけど、タレントとして売れるのであればそれはそれで、R-1がよく言われる「優勝者が売れない。というか誰も売れない」というレッテル張りをはね除けてくれる存在になるのではと期待している。

 

SAKURAI

まあSAKURAIさんだけじゃないけど、こういうネタはオーディエンスの反応があった方が乗れて良いよなあと思う。SAKURAIがレギュラー出演している「有ジェネ」は無観客とは言え、少なくない出演者の反応が画面に出るので寂しくはないというか、意図的に寂しくさせている「あらびき団」とはちょっと事情が違う。自分はこのネタはよく知っているのでどういう反応になるのかなという所が気になったので、無観客だと受けたのか受けてないのか評価されたのかされてないのか、あとは各自で考えようみたいな所なので何とも言えない。かなり詰め込んできたなという印象で、ただ、一発KOを食らわせるような強いパンチはなかったのかなあという感じはする。

 

野田クリスタル

自分は各ブロックの勝者が腑に落ちないんだけど、AはSAKURAIさんか野田さんのどちらかと感じていて、野田さん優勝なら納得かなと思える所はある。「アプリのゲームをやる男」という設定で見せているのでコントだと思うけど、「自分で作ったオリジナルクソゲーをやる」というアイディアはピン芸としては新しいと思う。確かに陣内さんもテトリスとかゲームのネタをやってたと思うけど、有名ゲームのパロディと、オリジナルクソゲーはやはり大きな違いがあると思う。

 

ルシファー吉岡

 やっぱりルシファーさんは下ネタやらないと。

 

ななまがり森下

小道具を沢山使うという二本目のネタがどんなものだったのか気になる。てっきり「架空芸能人のものまね」を二本目に用意しているのかなと思ってた。まあ事前番組で披露してたけど。

「乳首を隠せない男」これに類似するようなネタが過去にあったか考えてみたけどとりあえず思い浮かばなかった。意味不明だけど、全く何をやっているのかわからないわけではない、首の皮一枚で伝わる奇跡のバランス。コンビのネタもそうだけど、ななまがりは新しくて個性的な事をやってると思う。

 

ほしのディスコ

コンビネタもそうだけど、この人にしか出せない味わいのある演技だと思う。パーパーとは違うひとり芸を見たかったとも思うけど。

 

すゑひろがりず南條

3回戦で見た時に何の引っ掛かりも感じなかったので、このネタを決勝戦向きのネタとして選出した審査員はすごいと思う。自分なんかはお笑いを見過ぎてるせいか、オチの予測がしやすいネタはどうも魅力を感じない。

 

ヒューマン中村

Cブロックは激戦だったと言われてるけど、自分が審査員で投票するなら、ワタリ2票、ヒューマン1票だったかなーと思う。その位自分の好みのネタだった。審査員票ゼロ、客投票も少なかったけど、いくら激戦とはいえもう少し票が入っても良かったと思う。やはり今のR-1では正統派ネタは難しいのか。

 

おいでやす小田

客投票はゼロで、審査員票はトップという不思議な評価になったおいでやす小田。巻き舌一点突破が今のR-1には合うのかもしれないけど、以前にやっていたようなロジカルなコントこそがおいでやすの真骨頂と思ってる人も多いと思う。客票が伸びなかったのは、過去のおいでやすと比較してという面はあると思う。もはやレギュラー番組が年1回のR-1だけという感じだけど、この大会を盛り上げる存在としては重要なキャラクターだし、巡り合わせ次第では優勝する実力者だと思うので、例年通りに受けていれば来年も決勝に残るんじゃないかと思う。

 

ワタリ119

作家が考えたネタだと良く言われるけど、そうとも限らないしそうだとして何が問題なのかと思う。粗品が言ってたけど確かに最後の犬のモノマネが適当すぎて減点だったかなという気はする。

 

大谷健太

あくまで自分の見え方だけど、賞レースに限らず今のお笑いは完成度よりも新しさ、個性を求めている所が大きいと思うので、自分には「面白い早口言葉」というテーマが凡庸に感じられた。 ただフリップはテンポ良く見せられるから決勝に残れば結構強いんだなと思った。ZAZYみたいに決勝未経験ながら、知名度があってネタのパターンがバレてる人よりも初顔の方が受け入れられそう。ZAZYは決勝戦映えする存在感があるけどネタバレが強く、他の人達はどうも存在感が薄く、そこをネタが強いマイルドが抜けていくというのがここ数年の傾向になってるような。今回、メルヘンはものまねメイン、ワタリはフリップネタを装ったコントという事でシンプルなフリップネタはなかったけど、この決勝でのウェルカムムードを考えると来年は、フリップネタのストレートインが1組くらい出てくるかも。