キングオブコント2020

そう言えば感想を書いていなかったのでいまさらだけど。項目を立てて大まかに振り返ってみる。できるだけ全組についてふれる予定。

 

キングオブコント2020 全体の感想

今年は、自分の中で盛り上がらなかった。大会が始まるまでは例年のように、5ちゃんねるを見て情報を集めて妄想して楽しめたけど、決勝戦は、実力と人気の高い、ジャルジャル、ニューヨーク、空気階段が上位に残ったなーという感じで、驚きや感動はなかった。ニッポンの社長が跳ねかけた時だけ、唯一楽しかった気がする。

 

大阪よしもとの若手 滝音ロングコートダディニッポンの社長

今回の目玉は、この3組が決勝戦に上がったこと。少なくとも自分にとってはそうだった。自分の中で「これはやってくれたな」と感じたのはニッポンの社長だけだった。キリンスマッシュや寿司、ダンシングフィッソン族などのインパクト大のシュールネタの系譜になると思うけど、昔の芸人審査のKOCならもっと高い評価を受けていたであろうと思われる。ホラー的な展開や、言葉の掛け合いが少ない事による状況の分かり難さなど、冷静に見れば点数が付き難い要素が多いけど、そういった理屈を吹き飛ばす、会場を巻き込むようなパワーが足りなかったと言う事なのかも。来年も見たい、他のネタも見たいと感じさせてくれたのはニッポンの社長だけだった。滝音はつっこみフレーズではなく、話の展開の方が印象に残ったのはこのコンビの全国デビューとしてどうだったのかという思いで見ていた。やはりここは漫才の方がリズムがあっていて、すっと自然に話に入れる。ロングコートダディは、THE MANZAI認定漫才師になった頃からずっと好きで応援してるけど、自分が見たかったネタはこういうものではなかったなというネタの好みで片付けるけど、5分で見せるには話の展開が少な過ぎる点は気になった。

 

実力派人気コンビ 空気階段、ニューヨーク

空気階段の1本目はストーリー構成が素晴らしく、もぐらさんのキャラクターも強くて文句無しの内容だった。ネタの発想がぶっ飛んでいて話が綺麗。未だに「クローゼット」「電車のおじさん」が最強ネタとして言われるけど、今回のネタを見たら、あのレベルのネタを定期的に作れる地力があるコンビなんだなと思った。2本目は、見る人が見たら「これいいの?」って感じのネタだけど、ハートウォーミングな恋愛ストーリーに落とし込んでおり、見ていて嫌な気持ちがせず、爽やかさすら感じさせる仕上がりになっていた。

ニューヨークは2本共面白かったけど、1本目の結婚披露宴のネタは、ジャルジャルのネタ同様に「今のKOC決勝戦で受けいれられやすいポップさ」というのは感じて、そこに照準をあわせるというのが「本気で優勝を狙いにいっている」という事なのはよく分かるけど、あっさりとその通りになっていく大会の雰囲気も含めて、自分は物足りなさを感じた。狂気や不条理、得体の知れないエネルギーのようなものを感じたいし、新しいものを見てドキドキしたり、意表を突かれたりというものを期待してキングオブコントを見ている側面はある。昔は特に芸人審査の頃はその要素が強すぎたと言われるけど、今はその要素があまりになさすぎる。なんか通常のネタ番組を見ているような気分で最後まで見ていた。ニューヨークは1本目と2本目で好みは分かれるようだけど、自分は、不条理なものが好きなので、2本目の方が好みだった。

 

昨年の準優勝 うるとらブギーズ

一番印象に残ってないかも。ただこの人達はいつ優勝してもおかしくない実力はあるはず。「迷子センター」「催眠術師」あのクオリティのネタを生み出せるコント師は数少ない。

 

 

KOC決勝経験4度目 ジャルジャル、ザ・ギース、GAG、ジャンポケ

ジャンポケは見ている人の集中力が低下している10組目に情報量の多い、熱量のあるネタでハマり切らず。いつかのしずるのようだった。もし順番が早かったとしても、テレビのコントとして見るには話の内容が複雑過ぎる。

GAGは、なんかGAG少年楽団の頃のようで(その頃から面白かったので、必ずしも否定的な意味合いではないが)はっきりと言えば古臭かった。ぶつかって人が入れ替わるというのはSFでもコントでも古典すぎる。天蚕糸がまた古典の匂いを強めていた。この古典手法を使うのであれば、何か新しいアイディア、展開が待っていないと2020年のコントという感じはしない。ザ・ギース。ハープという変わり種の楽器とはいえ、楽器を使ったネタの定石に沿って、結果的に分かりやすい楽しいコントになったけど…。逆に言えばシュールなのは、楽器だけだったような。

ジャルジャル。自分はジャルジャルが大好きでライブに行く位好き、間違いなく現役コント師の最高峰に位置するコンビだと思うけど、今回のネタはいつものジャルジャルだったと言う以外に感想は無い。ニューヨークの所で触れたように、今のKOCの決勝戦に照準を合わせて来たと強く感じた。2本目は、ファーストラウンドが団子状態だったり、もっと脅威になるコンビが決勝に上がって来ていたら分からなかったと思う。1本目の「野次ワクチン」も好きだけど、自分は去年の決勝ネタの「天井がー、ねずみのー」の方がわけがわからなくて好きだった。

 

キングオブコント2020