ツギクル芸人グランプリ2021

 

Aブロック

 

●九番街レトロ(漫才「眠れない」)

●ゼンモンキー(コント「ロケット発射」)

トンツカタン(コント「居酒屋」)

●ダニエルズ(コント「ゾンビ」)〇

●ママタルト(漫才「SP」)

 

Bブロック

マッハスピード豪速球(コント「お年寄りに親切をする」)

●モシモシ(コント「ママさんバレー」)

●ダイヤモンド(漫才「手」)

●キュウ(漫才「ヨーグルト」)

●Yes!アキト(「ギャグ」)〇

 

Cブロック

●金の国(コント「芸人オーディション」)〇

●4000年に一度咲く金指(コント「面接の練習」)

●サスペンダーズ(コント「面接」)

●ポンループ(漫才「合コンのあと」)

●や団(コント「羽振りが良い」)

 

ファイナルステージ

●Yes!アキト(「ギャグ」)

●金の国(コント「満員ラッシュ」)〇

●ダニエルズ(コント「宝くじ」)

 

 

 

どのブロックも激戦でどこが勝ち上がってもおかしくなかった。優勝の金の国は納得だし、他を圧倒していたとも思うけど、自分の好みでいえば、サスペンダーズのネタが一番面白かった。

Aブロックから順に振り返ってみる。この大会を見て、強く感じたのは、台本と人間で言えば人間の強さの方が魅力的に感じるということ。「自分は」だけど。

九番街レトロ。ボケ役の方、若くてホストのようなルックスだけど、身長が低いせいかどこかアンバランスで愛嬌がある。見た目だけでなく中身も非凡さがあり、普通っぽいけどちょっと変という個性を感じる。友達が少なそうというか、相方にしか心を許してないような雰囲気を感じて、それがコンビの個性になってるような。ネタはずっと面白い時間が続くんだけどクライマックスがない。その感じも好きだ。

ゼンモンキー。眼鏡の子は、ハマり役というか、どっちが先かはわからないけど、強い個性を感じる。ただトリオは特にそうだと思うけど、この後に出てくるや団とかもそうで、ネタは面白いけど、3人の人間を描くというのが難しい。役割が近い2人のキャラクターの差異が見つけにくい。

トンツカタントンツカタンは苦手なイメージがあるけど、このネタは好き。よくこんな設定を思いついたなあと思う。トンツカタンは、喜劇の劇団俳優のような雰囲気があり、今回出たトリオのネタの中では、一番三者三様な個性に感じる。ただオチがふわっとしてるのが気になる。最後に意外性があるとか裏切りとか大爆笑を引き起こすとかそんなんじゃなくてもいいんだけど、「これが結末です」という、絵が見たい。ロングバージョンだとあるのかもしれないけど。優勝した金の国はそういう部分が上手くて、印象に残りやすい。

ダニエルズ。見たことがあるネタだし、正直この女性キャラには飽きてるんだけど、やっぱりこの2人の芝居は面白い。こんな状況なのに、日常感にあふれているのがクスクスする。ここはキャラコントなんだけど、人間を女性を夫婦をしっかり描いてるから、リアルに感じるし、作り物の非日常の人に感じられない。

ママタルト。勢いがものすごい。勢いに押されて1票を投じたくなるほど。檜原さんのつっこみは、強調するつっこみで自分は苦手なんだけど、それでも面白いのは面白い。ただ、なんとなく、ボケだったり、設定だったりに、檜原さんの熱いパワーワードを詰め込んだようなつっこみが少しだけ嚙み合ってないような気もする。

Bブロック。マッハスピード豪速球。予想を裏切るような展開になるけど、それが嘘っぽく見えない。必要最小限のつっこみが自分は見ていて心地良い。シンプルなわかりやすさもあり好みのネタだった。

モシモシ。ここはまだ芸歴が浅いこともあり、人間というより台本の魅力を感じる。この着眼点はすごいと思う。全員ボケの世界ながらお客さんを置いてけぼりにしないわかりやすさがある。このナンセンスさにどこまでハマるかは見る人によりけりに思うけど。オチは良かったと思う。

ダイヤモンド。これぞ変則漫才って感じの漫才で、なんだかわからないけどすごいと思ったけど、自分はなんだかわからないの部分の比率の方が遥かに高かった。

キュウ。代表ネタである「ゴリラであいうえお作文するなよ」のネタ。時間の関係もあったのか、ヨーグリラの件はなくなって、後半の流れが大分変ってた。自分は「ヨーグルト」でまとめた今回のネタの方が良かったと思う。

Yes!アキト。ここはめちゃくちゃ面白かったし、Bで一ウケだったのは間違いない。ただギャグの羅列のネタを漫才やコントと一緒に並べてみると違和感があって、比較対象になってないように思う。

金の国。1本目。ここはフリップを使ったコントという新機軸もあったけど、やはりおにぎりさんの芝居の上手さ、キャラクターの存在感が引き立って感じる。内向的に見える桃沢さんとの対比もあって良い。前に見た雪が降るネタとかレンタルビデオ屋のネタを見た時はあまり感じるものはなかったけど、今回披露した2本は魅力的に感じた。

4000年に一度咲く金指。「面接の練習をする兄弟」という設定が創作的というか、そんな場面はそうそうないだろうと感じられて入り込みにくかった。ニートを皮肉るというのもなんとなく弱い者いじめをしているようで笑いにくい。クレーマーのネタは好きなんだけど。

サスペンダーズ。前にこのネタを見たことがあって、その時はシール以外にも嫌な部分があった気がするけど、今回はシールに全ベットになってた。自分はこっちのバージョンの方が好きだ。シールにひたすら拘るのがシュールでおかしい。面接なのにシールの話しかしてない感じがたまらない。このコンビ2人とも演技がいいけど、特に古川さんの言い方は癖になってくる。東京03飯塚さんにお墨付きをもらってるのも納得。もう売れかかってると思うけど、ステップアップしていくのは時間の問題。

ポンループ。アミちゃんのキャラクターは好きだけど、言葉が聞き取りづらい場面が多かったのと、話の内容がやや漫画的で、もう少し現実にあり得そうな酷さに寄せてくれた方が笑いやすかった。

や団はゼンモンキーの所で書いたような印象であるというのと、オチの印象がちょっと煙に巻かれたようなややこしさを感じる。強盗したか聞かれて狼狽する演技はバカバカしくて好きだった。

ファイナルステージ

Yes!アキトはさっき書いたような理由で、横に置くとして、金の国とダニエルズ。それぞれに素晴らしく、甲乙つけがたい出来だった。金の国はドラマ性とフレッシュさがあり、ダニエルズはコメディ性と安定感があった。笑いどころが多く楽しめたのはダニエルズ、新世代感があり、印象に残る世界を見せたのは金の国。バリエーションという所とこの大会発のニュースター誕生という意味で、金の国優勝の方がしっくり来たように感じる。ダニエルズのあさひさんの女性キャラはもう飽きたかなとこの大会を見るまでは思ってたけど、これは他のネタをやりつつもずっと続けていくべきキャラクターなんだと思った。望月さんの困り顔も素敵だ。

あと、台本と人間という最初の方に書いたことについて、もう少し書くと、台本が面白いコントと人間が面白いコントだったら人間が面白いコントの方が強い。ただ各賞レースの決勝ともなると、台本が強いうえに人間力が強いと両方必要なんだと思う。今回のメンバーで特にそれが強く感じられたのは、金の国、サスペンダーズ、ダニエルズだった。キュウは独特すぎて人間力とかそういう事なのかよくわかんない。

ツギクル芸人グランプリ2021 - フジテレビ