M-1グランプリ2022 決勝戦 感想

各組一言ずつ

 

カベポスター

ネタのタイプ云々じゃなくて、とにかく爆発を起こして会場を自分達の空気で支配しないと決勝に行けても、上位争いは難しいのだと思う。トップに正統派が来るのはM-1では珍しいけど、その後の流れを考えるとやはり基準となって全体が見やすくなる。

 

真空ジェシカ

エッジは効いてるけど、ボケもツッコミもわかりやすいのが真空ジェシカの良さだと思う。コンビのカラーも出てるし良いネタだと思った。ただ導入の分かりにくさがそのまま設定の分かりにくさになってる。聞き間違いからコント漫才に入るけど、コントの中でガクさんはどういう立ち位置なのかが分かりにくい。

 

オズワルド

敗者復活戦のネタと、決勝戦のネタは変えなくてはいけないルールにしてほしい。敗者復活戦から見てると同じネタを立て続けに見る事になる。同じネタだったことも含めて2019年の和牛が過った。頭で考える面倒さがあるネタはM-1決勝では突き抜けないと思う。

 

ロングコートダディ

ボケとつっこみと似て非なるシステムを作り出した。そしてそれがロングコートダディらしいボケまみれのゆるゆるな雰囲気ですごく合っている。こういう変則漫才で高評価を得られたのはすごい。今年の、なのか一貫してるのかわからないけど、決勝で受けるネタはとにかく笑いやすくて分かりやすいネタ。ごちゃごちゃ頭で考えたり台詞を追いかけて理解するような漫才ではない。

 

さや香

題目にちょっとリアリティがないのが気になるけど、ボケ主導の話題だから良いと言われればそうなんだと思う。技術的な上手さやネタの構成の上手さは、素人が見てもなんとなくしかわからない。自然に話に引き込まれて笑ってしまうのだからすごく上手いのだと思う。さや香はシステムとして、石井さんボケ、新山さんつっこみを取り入れているので、石井さんがあくまでボケの役割を演じているように感じさせてしまう所に自分は引っ掛かりを覚える。システムの中に組み入れる手法はウエストランドの方が一枚上手に感じた。

 

男性ブランコ

かなり独特な世界観のネタを、シンプルに分かりやすく演じている。こんな変なネタで爆笑を起こすのはすごい技術と才能だと思う。そしてちょっと芸術の匂いがする。

 

ダイヤモンド

過去の予選でやってたネタの方が癖が強くて良かった。つっこみ慣れてない人のつっこみに感じる。さや香も役割を変えたけど、やはり違和感が強く残る。

 

ヨネダ2000

わけがわからないと言いつつ笑って高得点つけた松ちゃんの反応に共感した。とびぬけて高い点数と低い点数に割れて結果中位と予想してたけど、予想は当たり、尚且つ全体の点数が高めに推移した。自分もよくわからないけど一番笑ったのがヨネダで、一番笑った組に一番点を高くつけるというのが、審査コメントでもあったけど、一番しっくりくるので一番点も高い。採点してないけど。

これだったらどすこいかYMCAをやってくれた方が良かったなんて微塵も感じさせない、発展型の漫才を見せてもらってこれだけでもう満足だった。

 

キュウ

志らくさんのコメントに同意で、もっとすごいネタあるのに、なぜこのネタで決勝なのかという感想。ダイヤモンドもそうだけど一本調子で、キュウにしては手数は多いんだと思うけど、カベポスターの所で書いたように、場を支配する爆発がないと勝ち抜きは厳しい。

 

ウエストランド

そして散々書いてきた場を支配する爆発を起こしたのは10組目のウエストランドだった。さや香、ヨネダ、ロングコート、男性ブランコも面白かったけど、まだ物足りないという貪欲な視聴者と、会場のムードに応えた圧巻の漫才。かなり早い段階で爆発、その後も波に乗って受け続け、諸々跨いだあとのファイナルステージの二本目のネタが終わるまで、受け続けた。10組目からファイナル1組目で良い流れといえばぺこぱを思い出すけどそれ以上に場を支配していた。2019年はミルクボーイとかまいたちが強すぎたのもあるけど。色々配慮をしないといけない、配慮し過ぎてギャグになっているような世の中だからこそ、自主規制を取っ払い、フルスロットルで悪口を言いたい放題叫んだウエストランドが優勝というのもまた時代の流れに沿った現象なんだろう。

 

ロングコートダディ二本目

1本目もコントだったけど、2本目もそうで、ただ形として、1本目のような独自性はなく、天丼構成のネタ。もちろん面白いけど抜けた感はない。ファーストの前半を見てコント師のロングコートがM-1優勝したら荷が重いのではと思ってたけど、来年以降優勝する実力、可能性が十分あるコンビなので、楽しみではあるけど、二本ともコントっぽい漫才だったので優勝するなら漫才っぽいネタであってほしいと思う。

 

さや香二本目

1本目と2本目どちらも面白い。受けもあったしネタも完璧。ただウエストランドの時にあったうねるような、会場を飲み込む受けではなかったように思う。ボケとつっこみの役割を変えたコンビだけど、漫才の中では完璧に演じても、素のコメントで石井さんがボケたら周りが戸惑う雰囲気があり(コメントの内容がそういうものだったこともあるけど)、漫才のシステムとしての役割であって、平場では結局のところ、世間は石井さんをボケとも、新山さんがつっこみとも認識してない。役割を変えたコンビはそれが浸透してないこと、また以前の役割の方がしっくり来てる事を背負うことになる。かまいたちがKOCで濱家さんボケのネタをやって受けたけど、それはそのネタ限定の話だった。今後さや香が平場と漫才の舞台を、それぞれどのようにボケつっこみの分担を振り分けるか、二人の関係性をナチュラルに感じさせることができるかどうかが、今後M-1優勝するために重要になると思う。

M-1グランプリ 公式サイト