映画の感想いくつか

●百円の恋

安藤サクラ主演の女性ボクシング映画。ダメな人達ばかりが出て来て、一生懸命やってるんだかよく分かんないけど取り敢えず生きてる、という雰囲気が漂ってて良かった。ボクシングに打ち込んで徐々に強くなって行く描写が前半と対照的で良かったし、デビュー試合のシーンも本当のボクシングの試合のような臨場感があって興奮した。ただ、連れ込みホテルのシーンは妙に生々しくて後味が悪いので俺は無い方が良かった。DQNでもダメ人間でも良いけど、ああいうダメさはちょっと笑えない。

百円の恋 [DVD]

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 ●疑惑

松本清張原作。とにかく桃井かおり岩下志麻が格好良くて2人の女優対決を見てるだけで楽しい映画。最後まで筋が分かっても芝居が良いから、何度見ても楽しめる作品だと思う。酒場のシーンでの2人の喧嘩の面白さと言ったら他にない。岩下志麻が最愛の娘との決別を悟り覚悟を決めて、悲しみをこらえながら平静を装って娘に語りかけるシーンがたまらなくて泣いてしまった。

<あの頃映画> 疑惑 [DVD]

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 ●鬼畜

松本清張原作。主演の緒方拳、岩下志麻はもちろん、子役の拙い芝居も却ってリアルに見えて良かった。ストーリーに関しては、子捨て、殺人までやっておいて、父子の絆を描く感動作を謳うのは流石に無理があると思う。いくら仕事が上手く行ってなくて貧しくて、愛人との間に出来た子供であっても、それ以外に手がないというほど追い詰められてたように思えない。退屈はしなかったけど悪趣味な内容でもう一度見ようとは思わない。

<あの頃映画> 鬼畜 [DVD]

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 ●砂の器

松本清張原作。刑事による語りと父子の放浪の旅の回想とオーケストラの演奏が三位一体となるクライマックスシーンはこれまでに見た事が無い趣向のもので、胸を打つものがあってすごく良かった。ただそこ(父子の絆)に主眼を置いたせいか、殺害の動機や、父と会わない理由がはっきり示されず曖昧に感じる。差別、偏見が根強い時代で、保身に走る気持ちは分かるけど、それより何より罪の重い殺人を犯す必然性があったのかよく分からなかった。

<あの頃映画> 砂の器 デジタルリマスター版 [DVD]

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