M-1グランプリ2017

他所のブログや感想を巡回して感じた事など

 

 

ファーストラウンド

 

●ゆにばーす(「泊まりの営業」)

●カミナリ(「最強の生き物」)

とろサーモン(「旅館の女将」)

スーパーマラドーナ(「合コン」)

かまいたち(「こわい話」)

マヂカルラブリー(「野田ミュージカル」)

さや香(「歌のお兄さん」)

●ミキ(「漢字」)

●和牛(「ウェディングプランナー」)

ジャルジャル(「校内放送」)

 

 

ファーストラウンド

 

ゆにばーす

自分は今年の全組のネタの中でゆにばーすの漫才が一番面白かった。平常運転とは違う、勝負ネタを仕上げて来た印象。ここまで漫才が面白いイメージがなかったので、良い意味で裏切られてちょっと感動するものがあった。進化形のネタだけど、今回初めて見た人でも楽しめる内容の漫才だと思う。人に言われるまで気付かなかったけど、コント漫才はコントでもあるからリアリティは大事で、そういう意味で「一階に客室」という部分は減点対象になるとは思う。

 

カミナリ

ここはテレビで漫才を見る機会が今年一気に増えて、今回のネタもテレビで何度かやっているネタで、普段通りのカミナリという印象だった。ずっと見ていたせいか、変化や進化と言われてもあまりピンと来ない。ネタは今年も去年と変わらない質の高さだけど、ちょっとテーマが子供っぽいかなという気はする。

 

とろサーモン

1本目のネタはとろサーモンにしては大人しい印象だった。「隣人」のネタとか「電車のマナー」のネタみたいな久保田さんのクズキャラ漫才ではないのが自分が思い描いていたものと違ってやや期待外れに感じる。一個のボケが長くて、ボケの数が少ないのは競技漫才のM-1では評価され難いかと思ったけど、そんな事も無かった。

 

スーパーマラドーナ

こっちは対照的に競技漫才で、テンポ良くボケとつっこみが詰め込まれた漫才。スーマラと言えば伏線回収という印象だけど、今回のネタは取って付けたような感じであまり上手く機能してない。去年の2本目のネタのように、掛け合いで見せるスタンダードな形式の漫才が見たかった。

 

かまいたち

去年の敗者復活戦でやった「USJ」のネタがすごい良かったので期待してたんだけど、創作物につっこむというのがありがちなテーマに感じられてしまって抜けたという感じはしなかった。最近かまいたちがよくやっているサイコパスなキャラクターショーのような漫才を期待してたので、普通に見えてしまった。ありがちな題材ではあったけど、「卍」や「私情」など素晴らしかったと思う。

 

マヂカルラブリー

こういう形で初M-1決勝になってしまったのは残念。跳ねたであろうネタチョイスもあったと思うけど、このネタで勝ち上がったんだからそのネタで挑んだマヂラブは悪くない。去年のさらば、今年のカミナリ、和牛と予選と決勝でネタを変えて結果を残した人達も居て、自分達のネタや大会を客観視する力や、勝負師の勘というのはあって、結局の所、面白いネタを作ってもそれを大舞台でやらなければ届かないし、いまいちなネタを大舞台でやるといまいちなコンビのレッテルを貼られるので、ネタを選ぶ能力というのは何よりも大事なんだと思った。

 

さや香

シンプルなのは自分は良かったと思うけど、言葉の掛け合いが少ないのと展開が少ないのは漫才だと高い点数を付け難いんだなと思った。ただここは最終決戦行けるかなと思うくらいに跳ねてたように感じる。

 

ミキ

ここはネタというよりお兄ちゃんの喋りの上手さ、キャラクターの良さ、演技の熱量と、兄弟漫才ならではの掛け合いの上手さに尽きると思う。クラシカルな漫才で、中川家銀シャリ同様、昭和の漫才が好きで研究しているというのが良い形で個性になって出ている。若い人にしか受けない、年寄りにしか受けないというような漫才ではなく、普遍性があるのは強み。要するに自分はミキの漫才の面白さをあんまり分かってない。

 

和牛

1本目のネタの素晴らしさは審査員のコメントが全て。評判が良くなかった予選のネタを変えた判断力、そして優勝候補に相応しい漫才を披露した事がすごい。前半と後半で同じ事をやってるのに意味が全く変わってくるという構成は、知的で新しくてドキドキさせられた。2本共予選とネタを変えたのはもしかしたらM-1の歴史で初の事かもしれないけど、それを和牛が可能に変えたのだとしたら、その功績が大きいと思う。

 

ジャルジャル

ジャルジャルは本当に異端だよなーと思う。審査員もお客さんも「ボケとつっこみの会話=漫才」という認識で漫才を見てると思うけど、このネタはボケもつっこみも存在せずオリジナルの言葉遊びゲームをやってるというネタ。そんな異端なネタでありながら、高得点を獲得して、会場を大いに湧かせて「最終決戦いくんじゃないか」と思わせる完成度のものを仕上げてくるのは流石としか言い様が無い。

 

 

 

ファイナルラウンド

 

とろサーモン(「石焼き芋」)

●ミキ(「スターウォーズ」)

●和牛(「旅館」)

 

最終3組は、新ネタを用意した和牛と、代表ネタを持って来たとろサーモンとミキという感じで見て、新作で、ファーストラウンド1位通過、受け量、手数、昨年準優勝という色んな要素を込めて和牛が抜けたと思って見ていた。新ネタ優位というのはお笑いファンの穿った視点だとは思う。

とろサーモンは無駄な所を削ぎ落としてブラッシュアップさせた印象。1本目同様、手数の少なさが気になってあっさりし過ぎかなあとも思ったので優勝は意外に感じた。ラストイヤー、苦労人という背景も作用したと思う。

和牛の漫才=ネチネチした偏執狂的な水田さんのキャラクター漫才という認識を持ってるせいか、2本目のネタの嫌みさがあまり気にならなかったりする。他のネタと違って嫌味を言う必然性があまり無い設定ではあると思うけど。こっちのネタでも1本目とパターンを重ねて来たのは鮮やかで、優勝するコンビが2本のネタを用意するとはこういう事なんだなと思った。

ミキはあんまり分からないので感想無しで。ネタ選択が悪かったとは全く思わないけど、和牛、ジャルジャル、スーマラ、かまいたちとキャリアのある中堅コンビが挑戦的に新ネタをやってる中で、代表作をそのままやるのは弱気な印象を受けた。