第41回ABCお笑いグランプリ

 

Aブロック

 

世間知らズ(漫才「横顔」)

●チェリー大作戦(コント「テスト」)

からし蓮根(漫才「刑務所」)

オズワルド(漫才「プレゼント」)

 

Bブロック

 

●ベルサイユ(歌謡漫談「おにぎり、パンダ」)

●カベポスター(漫才「ストリートミュージシャン」)

コウテイ(漫才「田舎」)

●そいつどいつ(コント「すっぴん」)

 

Cブロック

 

フタリシズカ(コント「アイドルのオーディション」)

滝音(漫才「織田信長」)

ビスケットブラザーズ(コント「友達の家」)

さや香(漫才「蘊蓄」)

 

最終決戦

 

●オズワルド(漫才「息子」)

コウテイ(コント「怪盗」)

フタリシズカ(コント「心の声」)

 

 

各ブロックごとに感想

 

Aブロック

 

世間知らズはこのタイミングで決勝に上がって来たので何か変化があったのかなと思ったけどいつも通りの世間知らズだった。チェリー大作戦は多分初見のコンビ。きれいにまとまったコントだけど、まとまってるというのは良さでもあり悪さでもあり、枠からはみ出すようなパワーやインパクトに欠けるきらいがある。理屈や論理を超えた何かを期待してしまうというか。

からし蓮根とオズワルドは昨年のM-1ファイナリスト。二組とも昨年のM-1より面白かった。ネタの出来もあるけど、やっぱりM-1の決勝戦でネタを見るというのは特殊な環境で、全員を殺しにかかっていくような無双状態のネタでないと勝てない(爪痕を残せない)という所があると思うし、他のコンビとの比較があって、ステージのレベルが高過ぎるというのはある。結成15年以内の既に売れているような、百戦錬磨の達人と比較されると相対的に見て印象度が弱くなる。今年のM-1ファイナリストは大きく入れ替わる可能性が高いけど、この二組は順当に進めば連続ファイナリストに選ばれるどころか優勝候補の一角を担うと今回の出来を見て確信した。

オズワルドは、ローテンションでナンセンスな会話で見せるセンス型の東京漫才で、このタイプはM-1でもTHE MANZAIでも決勝に上がっても中位に甘んじるケースばかりで、優勝するイメージが湧き難い芸風なんだけど、もしかしたらその風潮を覆すかもしれないと思わせるような漫才だった。

からし蓮根は、審査員の人が言っていたように「どのやり取りも外れ無しで受けていて面白かった」んだけど、番組が終わって振り返るとそこまで印象に残っていない所があって、意外性やインパクトはあるにはあるけど、将来のM-1優勝コンビと目されているコンビには、既に芸風、手の内が知られているという点も踏まえて、もう少し斜め上を期待したくなるのかもしれない。

 

Bブロック

 

ベルサイユはある意味で、世間知らズと同じで、いつも通りだな、という所だけど、そこまで知名度はないと思うのでインパクトはあったかもしれない。そもそもコンテスト向きなのか、このタイプを漫才やコントと競わせるのはどうなのかという気がしないでもない。カベポスターは、新しい切り口の漫才、名前とスタイルのズレというのが面白くて、自分はBはカベポスターが好みだった。淡々とし過ぎているのが個性であり評価され難い点でもあり、M-1向きではないような気はするけど、自分はこのままの形での成長が見たい。コウテイは、ネタのセンスについていけない所が多くあって二本目のコントは分かりやすくて良かったけど、漫才は特に感想がない。そいつどいつは、このネタを結構テレビでやっていると思うので新しいネタが見たかったという空気があったと思う。

 

Cブロック

 

フタリシズカの一本目は全体で見て一番面白かった。音声を使ったネタは結局マツモトクラブしか成功していないと思ってたけど、フタリシズカが居た。あのサンプリングのネタで出て来て大きなインパクトを残したけど、その後はあれを超えられないような印象があったけど遂に超えて来た。ここは今年のKOCのダークホースになり得る。滝音のつっこみの才能は凄いと思うけど、つっこみのワードと話全体の流れが少しだけ噛み合っていないような感じがある。何の話を聞いているのか分からなくなってくるような。ビスブラは、一組だけオールザッツをやっているようなネタと立ち振る舞いで、存在感を示していた。ケンコバとかザコシショウとかのバッファロー吾郎のチームが持っている色を受け継いでいる感じがある。さや香は、M-1決勝以降も面白いネタはあるんだけど、それでも「歌のお兄さん」を越えていかない、あのイメージを見る側が引きずってる感じがある。一発目のボケは、劇場での反応は分からないけどテレビ越しに見ると違和感を感じた。

 

最終決戦

 

オズワルドはまた違った切り口で新しい発想のネタで面白かったけど、優勝ネタというとしっくり来ない。オズワルドもフタリシズカも、コントと漫才の違いはあれど、現実との距離感が遠いネタを選んだのは優勝ネタと考えると引っ掛かりを覚える。コウテイは、コント、ギャグとして分かりやすかった。他2組がややこしいネタをやっていたので、こういう昔ながらのシンプルな笑いに票が集まったのは共感出来る。

ちなみに自分の投票なら、オズワルド、カベポスター、フタリシズカ。最終はコウテイ

 

第41回ABCお笑いグランプリ|朝日放送テレビ