前半戦の空気は結構厳しくて、客が重いとかでなく、みんな受けてるんだけど、突き抜けきれてないまま後半に入り、抜けた所がオズワルド、錦鯉、インディアンスと昨年ファイナリストで中位に位置していた組がそのままスライドという形になったのは少し盛り上がりに欠けた。この3組はファイナリスト経験者というだけでなく、すでに売れっ子で実力も認められた存在で、順当と言えばそうなんだけど、波乱がなかった物寂しさはある。錦鯉は昨年優勝予想に入れてたけど、今年が爆発するタイミングだったんだなあとか。最終3組を見終えて、自分は錦鯉だったので嬉しかった。来年の優勝予想は今年と同じくももにする。ランジャタイはこのネタが準決勝でイチウケしたネタなのかそうではないのか。いずれにしても違うネタが良かったと思えた。モグライダーのネタの意味がよく理解できなかったので、情報収集する。
M-1グランプリ2021 敗者復活戦 取り急ぎ
投票は金属バット、マユリカ、ヨネダ2000。殆ど迷うことなく。金属は不謹慎の塩梅がちょうどよくてこんなのが見たかったっていうネタだった。ランジャタイとかマヂラブもそうだけど、昔からずっと同じようなネタをやっているけど、勿論ネタや見せ方の進化もあるけど、一般的な認知度があがってようやく丁度いいウケるネタの準備が整った感じがする。マユリカは昨年の準々決勝のネタだと思うけど、これで落とされたのはなぜなのかという出来。
他でいうと、ニューヨークはM-1決勝の舞台でこのネタをやっていたらという想像ができなかったので面白かったけど入れなかった。
準決勝と同じネタをやったのは記憶が正しければ、ダイタク、ヨネダ、ヘンダーソン、アルピーだけかな。
見取り図はこの出来だとないと思う。準決勝のネタをやれば通ったと思うけど。金属に行ってほしいけどハライチが勝ち上がる気がする…。上位3組の中間発表が無くなったのはいい改変。
女芸人No.1決定戦 THE W 2021
Aブロック
●ヨネダ2000（漫才「友達に謝る」）
●紅しょうが（漫才「友達のデートをサポートする」）
●茶々（コント「電車」）
●TEAM BANANA（漫才「電車のマナー、苦手な女」）
●オダウエダ（コント「居酒屋」）
Bブロック
●天才ピアニスト（コント「ドア」）
●女ガールズ（漫才「黙ってた事」）
●ヒコロヒー（コント「息子の進路」）
●スパイク（コント「クラブ」）
●Aマッソ（コント「電話対応」）
ファイナルステージ
●Aマッソ（「PM漫才「憑き物」）
●天才ピアニスト（コント「スーパーのレジ」）
●オダウエダ（コント「ストーカー」）
各組一言ずつ
Aブロック
●ヨネダ2000
トップバッターに不向きなナンセンスなネタで今年に限った事かはわからないけど、審査員はつっこみが不在の漫才は高い点数を付けにくいんだろうなあと思った。というのは次の紅しょうがとの対比でわかりやすい形で表出していた。ネタの好みで言えば自分は決勝戦で一番好きなくらいだった。あとは、Youtubeに上がってるM-1グランプリ3回戦の3分バージョンと比べて、4分バージョンがどうだったか、というのは印象が割れる所があると思う。3分バージョンを見慣れると4分バージョンにちょっと違和感を感じる所はある。
●紅しょうが
正直自分にはなぜ紅しょうがが予選審査員、決勝審査員にハマっているのかよくわからない。普通の女流漫才という以外に感じるものがない。熊元プロレスのキャラクターは魅力があっていつも期待するんだけど、ネタは普通。全体に関連する話として、ボケとつっこみのバランスが対等、わかりやすいテーマと笑い、テンポよく進む漫才というのは評価が高い。漫才とはこういうものが本流という感覚が特に大阪の文化として根強いんだなと思う。
●茶々
サイレントの芝居で、マウントを取りに行くという現代的で独創的なネタ。後半にかけて、狂気とか奇人みたいな方向じゃなくて、自然な相手との意地の張り合いをもっと見たかったと思うけど、これはこれで一つの完成された話という感じもする。
マナーの話とか同性に嫌われる女性とか面白いんだけど、もはや新鮮味がなくなっていてインパクトに欠ける。そういったテーマであれば、ハッとさせられるような新しい切り口がほしくなる。チーバナの藤本さんのちょっと引いたつっこみが好きなんだけど点数が入るのは紅しょうがや天才ピアニストみたいな強いつっこみなんだろうなあと思う。
●オダウエダ
音楽を入れたり、小道具を活用してポップになっているように感じる。意味のない面白さでどちらかと言えば子供の方が楽しめるネタかもしれない。「エンタの神様」っぽいというか。地下のカルト芸人みたいな立ち位置の人たちがみんな売れて行ってその流れに乗れた感じがする。紅しょうがとの相対評価でオダウエダの方がいいと思ったけど、わけがわからなくてそれが楽しいという以上の感想は思い浮かばない。
Aブロックの個人採点は、1ヨネダ、2オダウエダ、3チーバナ、4茶々、5紅しょうが。
Bブロック
●天才ピアニスト
二人の掛け合いが面白いし、演技が上手い、設定も特殊で面白いと、頭では思うんだけど、自分はハマり切れない。設定は変わってるけど、ボケ/つっこみのやり取りや、ボケ自体がベタだから好きじゃないんだと思う。ゾンビ映画のあるあるとか死亡フラグとか既視感しかない。
●女ガールズ
アマチュアの新人トリオで強烈なキャラや個性があるわけでもない。ネタの面白さと将来性で勝ち上がったんだと思う。演技が不安定で伝わりきらなかったけど、ネタは面白いし、左右の子の個性も出てくればもっと良くなりそう。東京もしくは大阪在住で3人とも事務所に所属している状態なら、今後のTHE WやM-1も期待できるけど、それは難しそうなのが惜しい。
●ヒコロヒー
今の若い人にはパンクロックの概念って伝わりにくい気がする。自分の年代すらブルーハーツのイメージで、後追いで、社会に反抗するならず者の音楽みたいなイメージが理解できたけど。ブルーハーツもいわゆるパンクとはまたちょっと違うし。パンク＝不良みたいなのってかなり昔のイメージ。面白いネタだけど一人コントってやっぱ難しいなーという思いも抱く。
●スパイク
小川さんは美人女優がコメディ作品を上手に演じてるような雰囲気がある。自分は他愛のないコメディやラブコメが好きなので楽しく見れた。あの変な動きは楽しくて何度も見たくなる。他のネタも見たくなる魅力を感じた。準決勝でやった友達の結婚式のネタも面白かったけど、これもいつかどこかでまた見たい。
●Aマッソ
「天才バカコンビ」というキャッチコピーが良い。Aマッソはベタかシュールか、とか創造性があるかどうかとかそういう事じゃなくて、いかに村上さんが自然なアホを演じられる用意ができるかどうかなんだと思う。漫才も今回のコントのような熱を感じるものが見たい。
Bブロックの個人採点は、1Aマッソ、2スパイク、3天才ピアニスト、4女ガールズ、5ヒコロヒー。
●最終決戦
自分の印象は、Aマッソがプロジェクションマッピング漫才でこれじゃない感があり、天才ピアニストは敗者復活戦の勝ち上がりだから、余程抜けてないと票を入れにくい、ということで消去法でオダウエダ以外ないという感じがした。天才ピアニスト、自分にバーコードリーダーを当てる所は好きだった。逆に言えばそこ以外あんまり印象がない。オダウエダは準決勝でこのネタを見た時は「なんじゃこりゃ」って感じで、決勝予想にも入れなかったくらいだけど、改めて見ると、植田さんのフォルムとか蟹のキューブとかオチの泡吹きとかああいう、漫画的というか、ひたすらくだらない感じが心地よかった。自分の印象では、本来Aマッソが優勝するはずの流れだったのに、ネタ選択で負けて、オダウエダが棚ボタでうっかり勝って炎上して不憫で爆笑という感じかな。オダウエダが日テレの番組を回るにしても、ネタ番組に時々呼ばれる存在になるにしても、売れなかった王者になって地下に戻るにしても楽しいと思う。
女芸人No.1決定戦 THE W 2021 とりあえずの感想
自分の好みでいえばヨネダ2000が一番。オダウエダのぶっ飛んだシュールなコントがハマって優勝したのは嬉しい。昨年決勝で見た時は、ライブや深夜番組で見ると面白いだろうけど賞レース決勝で見るとちょっと違うような感じがしたけど、今年はなんか丁度いい感じがした。
Aマッソは1本目のようなコントを2本目にもやれていたら優勝する可能性は高かったと思う。天才ピアニストと紅しょうがは予選で見た時にも感じたけど、好みじゃないんだと思う。女ガールズ、チーバナ、スパイク、面白かった。女ガールズは自分達のテンポでやれていたらもう少し良さが伝わったと思うけど、ほぼ素人の新人トリオなんだからしょうがないか。
初回、2回目くらいから考えると本当に真っ当で見ごたえのある賞レース番組になったなーと思う。
