新・上京物語 ~煙突とスカイツリーと僕の夢~

主役の青年がロングコートダディの兎さんに似てるなーと思いながら見た。番組を見終わったあとに自分が感じた感想と、ネットで回ってる感想に大きな乖離というか、温度差を感じてずっとモヤモヤしてたので、記事に書いてみる。少数派の意見なのかもしれないけど自分と同じような感想を抱いた人もきっと少なくないと信じて。

話は、北海道で高校を卒業したばかりの青年が料理人を志し、祖父のコネで東京の有名料理店に就職するが挫折する、というもの。

自分がよくネットで見た主役の青年に対する印象は「やる気がないダメな青年」というものが多かった。確かに、料理経験が一切ないまま、料理の学校に通ったりもせずいきなり料理店で働くというのは、祖父のやさしさという行きがかり上の事情があるとは言え、無謀だったと思う。初めから詰んでる状態といえる。

青年は就職初日にして「やめたい」と店主に打ち明けるんだけど、これも一個の見方は「根性がない、まだ何もわかんないだろう」なんだけど、でも「言葉ではうまく説明できないけどなんとなく雰囲気がいや」というものを払しょくするのは難しい。バイトにしろ就職にしろそういう経験って多くの人は若い時に経験してると思う。「なんかやだ」ってやつ。そして1日でバックレたりしてそのままフェードアウト。自分も経験がある。ダイアンの津田さんもそういう経験があったとよく話してる。

職場環境って、恋人とか住居とかと同じで毎日ずっと続いていくものだから、合わないものを無理に合わせていたり、合わないまま続けるて行くのってすごくしんどい。職業選択の自由があるんだから、一日で退職することは何も悪い事ではない。

カメラが回っていない部分で、こういうことがあった、というのは、わからない以上、読み取るつもりはないので、あくまでVTRに映し出された映像からの判断になるけど、自分は主役の青年の気持ちに感情移入した。

職場の雰囲気は良い、みんな優しいというネットの意見を見たけど、大いに疑問を感じる。「今の若い奴は厳しくするとすぐに辞めるから、優しくしよう」と表面上やさしくしていただけに感じた。店主は優しい人だと思うけど「友達の孫」という特殊な関係性から生じる気遣いや思いやりにも感じられた。主役の青年が職場の人に心を許してると感じられる場面は一度もなかった。

仕事なんだから厳しくして当然、という考え方もあると思うけど、自分だったら、業界未経験の18歳、地方から出て一人暮らしを始めたばかりの新人に、厳しく教えないと思う。環境に慣れてもらう事が大事かなーと思うし、この職場が合わないと思うなら別の料理店を勧めたり、別の業種を勧める。大卒が22歳なんだから少なくともその年までは、いろいろな仕事をしたり遊んだりだらけたりしてゆっくり自分の進路を決めればいいんじゃないかと思う。18歳料理人志望、といったって漫画に出てくる天才じゃないんだから18歳じゃ世界が狭すぎるし何もわからない。この青年が料理人をやめるのをやめるのなら、田舎の小さな店でマイペースにやってるのが合ってると思う。店主が最後に「料理人をやめるのであれば、店を退職することに自分の中で納得できる」なんて言ってたけど、よくわからん理屈だと思う。極道の世界から足を洗う為の契りみたいで、まあそんなのはどこの世界にでもあるのかもしれないけど、つまんない話だなーと思う。一人の若者の未来に枷を作ろうとしてるだけにしか思えない。そんなのは枷でもなんでもないので、気にせず、またやろうと思ったらやればいいだけのこと。

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