BUCK-TICKの全フルアルバムを回想する③

狂った太陽

1991年作。相変わらず楽曲が良い点、バンドの方向性が定まった点、レコーディング技術の向上、打ち込みの導入など相まって、この時点でBUCK-TICKのアルバムとして最も完成度の高い作品になってる。個人的には、「スピード」「MAD」辺りはあんまり好きじゃなくて、「さくら」「JUPITTER」「太陽二殺サレタ」等の後半のミディアムバラードの曲が核だと思ってる。「JUPITTER」は星野さんの代表作であり、BUCK-TICKにとっても代表作である大名曲。「MY FUNNY VALENTINE」、「エンジェルフィッシュ」のニヒルで怪しい雰囲気も大好きだ。

 

殺シノ調ベ

1992年作。セルフカバーアルバム。初期の作品のリメイクで、とはいえ一番古くても5年前のリメイクだけど、この5年の間に演奏、レコーディング技術の飛躍的向上があったため、「狂った太陽」に収録された曲は別として、それ以外の曲は演奏の迫力が増して凝ったアレンジになり全く別の曲に生まれ変わっている。自分は初期作品より先に「殺シノ調べ」を聴いたので(普通のベストアルバムかと思って聴いてた)こちらのバージョンの方が格好良くて聞きやすいと感じる曲が多い。スケール感を増した「VICTIMS OF LOVE」、「ORIENTAL LOVE STORY」、疾走感重厚感が増した「…IN HEAVEN」、「MOON LIGHT」、「悪の華」、「HYPER LOVE」。リメイク前の録音の方が好きという人もいると思うけど、少数派なのではないかと思う。個人的に好きなのは破壊されて原曲の面影すらない「MAD」、テンポを落として幻想的な雰囲気が漂う「LOVE ME」。

 

darker than darkness style93

1993年作。ダークな世界観のBUCK-TICKという方向性が定着した感があり、更に奥へ奥へと進んでいったのがこの作品であり、次の「Six/Nine」だった。怪しいダブ「キラメキの中で」、星野さんの名曲「ドレス」、ダークな世界観に寄り添いながらも世界観強めな今井さん作詞の「Madman blues」と「神風」、櫻井さん一人のツインボーカル「ZERO」など聴きどころ満載。「誘惑」は古い洋館で霊が彷徨ってるようなイメージで格好良い。

 

Six/Nine

1995年作。BUCK-TICKのダーク路線の最高峰。濃密に作りこんでいる音に同調するように歌詞も精神世界に触れるような危うさがある。オルタナアンビエント、ノイズ、打ち込みのごった煮カオスアルバムでありながら、耳馴染みしやすいメロディーでメジャー感がある。「相変わらずのアレ~」未だにどういうジャンルの音楽なのかわかってない。「君のヴァニラ」、「デタラメ野郎」、「相変わらず~」、「楽園」辺りは今聴いても斬新で結局、「Six/Nine」のBUCK-TICKみたいな音のバンドは、近い方向性のバンドは居ても、出会えなかったように思う。もしそういうバンドやアルバムがあるなら教えてほしい。

 

COSMOS

1996年作。シンプルにそぎ落とした印象の「COSMOS」も大好きだ。シンプルとはいえ「Six/Nine」の後の作品だけあり、ある意味で一番「Six/Nine」に近いものを感じる。楽曲、楽器、打ち込み、歌詞、ノイズの組み合わせで新しくてここにしかない音を作り出してる感じが好きで、シンプルなバンド演奏主体になった時期の作品が物足りないと感じたのは、この時期にあった耳がびっくりするような音の響きを求めているからだと思う。

 

SEXY STREAM LINER

1997年作。デジタルの暗いトーンでアルバム全体が統一されていて、聞き心地が良い。デジタルとバンドの融合という所でこの作品と次作「ONE LIFE.ONE DEATH」、「Mona Lisa OVERDRIVE」辺りが代表的だけど、この作品のダークで近未来的な感触というのは他の作品とは異なる魅力がある。バンドの音が強めに出た曲の方が上がりやすいし、バンドにとって本線はそっちというのもあるからこのアルバムが地味に感じるという意見もわかる。自分は「螺旋 虫」という曲が大好きで、もしかしたら一番好きかもという位でその曲が入ってるのもこのアルバムが好きな理由かもしれない。今井さんの曲も大好きだけど、星野曲は「JUPITTER」、「ドレス」、「ミウ」、「幻想の花」、「螺旋 虫」、「密室」、「エンジェルフィッシュ」、「誘惑」、「凍える」などなど本当に良い曲がいっぱいある。

SEXY STREAM LINER

SEXY STREAM LINER

  • アーティスト:BUCK-TICK
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