BUCK-TICKの全フルアルバムを回想する④

ONE LIFE.ONE DEATH

2000年作。このアルバムはポップでメロディが強いという印象であまり人を選ばない作品だと思う。楽曲もアレンジも相変わらずキレキレ、絶頂期の作品だけあり、デカダンスとかゴスとかそういう世界観が好きな人でも音楽の良さで黙らせるような力がある。「SSL」が97年、「囁き」と「月世界」が98年でこの時期は結構マニアックなイメージだったけど、ポップ&デジタルな99年のシングル「BRAN-NEW LOVER」と2000年のこのアルバムで雰囲気が変わった。

 

極東I LOVE YOU

2002年作。あんまり人気がないアルバムみたいだけど、自分は大好きだ。フォークとエレクトロが混在したフォークトロニカの温かみのあるサウンドが好きで、この時期結構ポストロックを聴いてたのでこの時代の音だなあと今聴くと懐かしさもある。「GHOST」と「謝肉祭」と「WARP DAY」と「王国」が好き。「王国」の極東のシングルのカップリングに入ってたバージョンもポストロック的なアプローチで好きだった。

 

Mona-Lisa OVERDRIVE

2003年作。BPM早めでガンガン攻める前半は格好良いんだけど、後半の曲が櫻井さんの歌詞にしては情景みたいなものがイメージし辛くて楽曲の印象が薄い。櫻井さんの歌詞について、5ちゃんとかでマンネリとかよく言われるけど、まあキャリア長いししょうがないんじゃないと思いつつも、櫻井さんほど、音のイメージを言語化して表現できる作詞家って他に居ないと思う。

 

十三階は月光

2005年作。アルバム「悪の華」のアップデート版みたいなイメージのあるアルバム。ゴシックでシアトリカルな世界。櫻井さんが色んな役を演じる感じで作詞した、みたいに言ってた気がするけど、それはそれの魅力はあるし、やっぱり櫻井さんには、そしてBUCK-TICKにはこういうダークでゴシックな世界は合う。ただ役を演じているせいかどこか、カラッとしていて、この世に生きる苦しみ、辛い、死にたい、祈り、希い…みたいな櫻井さんのリアルな心の闇はない。その辺りが「悪の華」と似ている。ゴシックで統一されたアルバムのトーンに浸って楽しめるし、楽曲がどれも素晴らしい。特に「ROMANCE」と「DIABOLO」という名曲を生み出したというだけでもこのコンセプトは大成功だったと思える。

 

天使のリボルバー

2007年。デジタルとかノイズとか凝ったアレンジはなくなり、シンプルなバンドサウンドに回帰した作品。買った当時以降は通して聴いたことがない。「alice~」「REVOLVER」、「モンタージュ」、「RENDEZVOUS」辺りは好きだ。特に「alice~」はPVの世界観も含めて、他の曲にはない可愛さがあり思い入れがある。なんでこんな良い曲が固定ファン以外に売れないんだろう?と不思議に思った。

 

memento mori

2009年作。「天使は誰だ」「セレナーデ-愛しのアンブレラ-sweety-」等楽曲単位では好きな曲はあるけど、通して聴くことはあまりない。攻撃的でダークな楽曲が多いので、乗れるアルバムだと思うんだけど、正直な所、2007年と2009年の作品は、自分が求めているBUCK-TICKとは微妙に違った印象がある。