第45回ABCお笑いグランプリ2024

 

全体の感想

リンゴさんが令和ロマンに対して冗談ぽく「ちょっと卑怯」と言ってたけど、卑怯では全然ないけど、令和ロマンにとってかなり有利な状況だった。二年連続のABC準優勝、昨年のM-1優勝というキャリアで今年もファイナリスト。もう優勝して卒業するタイミングとしてはここしかない。しかも万人が納得できる面白い漫才を二本披露しての完全優勝。なんと言われようと今年のM-1に出て連覇を目指してほしい。ABCが令和vs11組だったようにM-1も令和vs9組になるかもしれない。う大さんのコメントは共感する部分が大きく、なるほどと思わされるものもあり、かなり良かった。今年じゃなくてもいずれKOCの審査員をやるのは時間の問題。ブロックごとに振り返り

 

 

Aブロック

ぐろう(漫才「自転車」)

天才ピアニスト(コント「タクシー」)

ダウ90000(コント「秘密の告白」)

金魚番長(漫才「オーケストラ」)

 

ぐろうは初めてちゃんと見たけど、良かった。志らくさんのいう怖さもも感覚的に良く理解できて、だからこそ面白いという所があった。ロジックが面白く、ボケとつっこみの漫才にもなっている。後半の展開で、トーンダウンしたのが惜しい。これからキャリアを積んで認知度や個性が出てきたらもっと面白いコンビになりそう。

天才ピアニストは、う大さんが指摘する違和感というのはすごい分かる。言い出したらそもそも何のメリットもないのにそんな協力するタクシードライバーが居るのかという話にもなってきて、天ピにリアルを求めても魅力が発揮されない。シチュエーションが良いし、ますみさんが器用すぎる。竹内さんの何気ないけど鋭いつっこみも良い感じ。コントはリアルかスラップスティックかは見てる側の好みの問題でしかない。今年はこの後出てくるダウだったり審査員う大さんだったりで、細かい芝居、リアルな演出、緻密な台本が評価される流れだった。

ダウのネタ、特に1本目は素晴らしかった。今年はM-1エバース、KOCはそろそろダウが行くんだろうなと思う。ダウがなかなか決勝に上げてもらえないのは、準決勝の大きな会場が受けに不向きな点と、お笑いライブに通うファンがダウのコントをあまり好まないからなんだと思うけど、ボーダーラインにいるくらいの出来であれば一度上げてみて良いんじゃないかと思う。う大さんや志らくさんのコメントはすごい褒め言葉だったと思うし、自分もその通りに感じた。ドラマ性がありながら、話を積み上げて後半に大きな笑いを爆発させるという賞レースコントとしては理想的な流れを生み出してた。

金魚番長は、オーソドックスなネタだけど、古市さんのあの雰囲気とか喋り方がお客さん寄りに立っているような感じがして、親しみが湧く。ネタ後のトークの雰囲気はもう即戦力でテレビで活躍しそう。「二本目はワンピース歌舞伎をやる」はめちゃくちゃ面白いボケだと思ったけど、エンディングを見ると本当にあるネタなのか、やる予定だったのか、コントもやるのか?コントじゃないのか?漫才なのか?急遽衣装とメイクを用意したのか?いろいろ謎が残る。

順位をつけるなら好みで、1ダウ 2ぐろう 3天ピ 4金魚番長

 

 

Bブロック

エバース(漫才「車」)

やました(コント「付き合って3年」)

フランスピアノ(コント「パントマイム」)

青色1号(コント「面接」)

 

 

全体を通して一番笑ったのはエバース。エバースは論理というより、不条理漫才に近い。わけのわからない頭のおかしい話に真面目にちゃんと付き合って会話を成立させてる。相手の言い分を全否定するようなつっこみではない。ちゃんと話を聞いて相手側に立って話を進めていく。ABCやツギクルを見ている時期は秋のKOCや、年末のM-1、THE Wはどうなるのか予想を立てる楽しさがある。エバースは決勝には確実に行くと思う。

やました。この間、黒帯会議に出てた子がいきなり大きな賞レースに勝ち上がってきた。大まかに言えば友近とか柳原可奈子みたいな、一人コントなんだけど、やはり世代だったり人間性が違うと同じような形式でも全然違う人間を演じるし、味わいが変わる。初期のR-1かと見間違うような簡素な椅子と机のセットと正面を向いて一人喋りをする女性という絵。令和の今、却ってこのシンプルストロングスタイルが新鮮に映る。他にどんなネタをやるのか、どんな人なのか気になる雰囲気がある。

フランスピアノ。インパクトを残したネタという意味では今回一番だったかもしれない。身体的な動きの笑いって子供っぽさがあってあんまり行かない傾向だけど、逆方向にこそ金脈ありは定説でもある。

青色1号。青色の代表作だと思うし、出来が抜群に良かったとも思う。ただ自分としては結構前からやっているネタというイメージで、このネタなんだという拍子抜けの方が先にあった。二本目の英語のネタも前に見たことあるネタだし、10年ラストイヤー集大成のベスト選出という事なんだと思う。既視感を差し引いたら1位もしくは2位で納得だけど。

ここは順番つけるのが難しい。1以外は横一線という感じ。1エバース 2青色 3フランスピアノ 4やました

 

 

Cブロック

令和ロマン(漫才「猫の島」)

かが屋(コント「定期券」)

フースーヤ(漫才「シンデレラ」)

ぎょねこ(コント「円周率」)

 

 

令和ロマンは去年のM-1準決勝ネタ。当時の記憶が朧気だけど、改変やブラッシュアップがあるのか、こんなに面白かったっけという印象。くるまさんは喋りが独特で引き込むけど、動きの面白さも大きい。昨年のM-1の町工場のネタの吉本社員とか、一昨年のM-1敗者復活のドラえもんのネタもそうだった。

かが屋は最近のネタ見てないんだけど、今回はあんまりしっくりこなかった。学生服着てるし中学生かなと思うけど、中学生にしては幼い気もする。子供を演じると見てる側の補正の負担がある。大学生、社会人くらいの設定の方が良いような気がするけど。ノスタルジーを掻き立てられる良さはあるけど、裏を返せば笑いの印象は薄い。う大さんが言ってた「加賀さんの演じるキャラクターが誰もやってない感じで面白かった。新しいステージに行こうとしている」というのは何を指してるのかよく理解できなかった。

フースーヤ。ギャグもギャグ漫才も好きじゃないけど、フースーヤはなんか笑ってしまう所がある。二人で合わせ技でやるからか。最後の取ってつけたようなつっこみセリフを弄られてたけど、上方漫才の様式美の踏襲すらボケになるというのは斬新と言えば斬新。Wボケギャグ漫才、メインストーリーは書割程度というのは振り切ってるなあとも思う。

ぎょねこは集中力が切れて、難しいコントだったので申し訳ないけど、ほとんど理解できなかった。よりによってブロックラストという運のなさ。

ここの順位は、1 令和 2フースーヤ 3かが屋 4ぎょねこ

 

 

ファイナルステージ

令和ロマン(漫才「実家に帰省する」)

青色1号(コント「英語禁止ゲーム」)

ダウ90000(コント「浮気」)

 

令和ロマンはいろんな映画やアニメのパロディをごった煮にして詰め込んだような漫才で、ボリューム感があった。いろいろ詰めても、何を詰めてるかという線は一緒なので散漫さはない。線というのは、日常を超越したような格好良い、けど格好良すぎて笑ってしまうような世界観というあたり。中国拳法と門下生たちはおかしかった。ケムリさんの実家が裕福というイメージをうまく利用しているような所がある。

青色1号はかなりシンプルなネタだけど、それが却って良かったりしたのかなと思う。対照的にダウ2本目は、面白いネタだけど、相関関係が頭の中でかなりごちゃつく。若い男女ユニットだとどうしても恋愛ネタに行きがちで、1本目は恋愛要素も大きいけど、友情とか青春みたいな印象の方が大きかったのが良かったんだと思う。いずれにしても今年のKOC、ダウには頑張ってほしいなと思う回だった

 

https://abema.tv/video/episode/534-13_s45_p50

 

第45回ABCお笑いグランプリ2024|朝日放送テレビ