第二回Aマッソ単独ライブ「快速!たくや先輩のドンッ!」

女性お笑いコンビ、Aマッソの単独ライブに行って来たので各ネタを覚えてる限り感想。以下ネタ演目。幕間映像は省略。

1女将探偵の事件簿(コント) 2射的(漫才) 3姉妹の盃(漫才)

4ジーパン(コント) 5星新一(コント) 6同時上映(コント) 

7痛いの関係ない (漫才)

 ●女将探偵の事件簿(コント)

探偵もののパロディコント。一発目から不条理でエキセントリックな世界観全開のネタ。このネタ単体で見ると意味不明なオチになっていて、OP用コントという感じ。客演で女性ピン芸人のkittanが出てたのが嬉しかった。

●射的(漫才)

Wボケ&Wつっこみのネタ。Aマッソの漫才は笑い飯の影響を感じる事が多いけど、このネタはそういう匂いを感じなかった。交互にボケ/つっこみのパートが入れ替わる作りは笑い飯を連想する型ではあるんだけど、ボケに対してつっこみ+ボケになってる構造が特徴的で、そのつっこみ+ボケを受けてボケ役がそのボケに乗って、今度はつっこみに回るという流れの繰り返しが新しいと感じた。もしかしたら笑い飯にもそういうタイプのネタはあるかもしれないけど、ここまで同時にボケ合うようなネタは見た事がない。射的を軸に祭りの出店に限定した漫才で、お祭り全体の情景が浮かんでくるような雰囲気が感じられてすごく良かった。

●姉妹の盃(漫才)

設定の独特さ、珍妙さに加えて、そこから広がる話が妙にのん気なのがすごく好みのネタだった。つっこみながらも加納さんが村上さんのしょうもない話に付き合ってあげるのが可笑しい。ネタバレになるからあんまり引用はしたくないんだけど、「ドトールの座敷でサラリーマン川柳の選考をする」という発想は頭が飛んでる人じゃないと作れない。

●ジーパン(コント)

Aマッソのコントは今回初めて見たんだけど、ぶっ飛んでて自由度が高くて、訳が分からない所もあるけど、どれもすごく面白かった。普通は賞レースやテレビを意識して、版権ネタや細か過ぎて伝わらないネタを切り捨てる事が多いと思うんだけど、そういうものを一切気にせずに面白いと感じる事をそのまま吐き出してる感じ。テレビで見たら意味不明の一言で終わりになる恐れはあると思うけど、単独ライブなんだし、若手なんだし、この位自由にのびのびやるのは気持ちがいいなあと思う。このネタもまた、どっから生まれてくるんだろうと不思議になるような奇想で、後半はカオス過ぎてついていけなくて、もう一度じっくり見返しても意味が分からないと思うけど、そこに至るまでのやり取りは面白かった。

 ●星新一(コント)

SF作家の星新一の妾の家に星新一の妻が押し掛けてきて、妾が妻に対して星新一をどの程度理解してるかを試すために星新一ショートショートのオチを当てるクイズを出すという内容のコント。星新一の著作を大胆に引用してスクリーンに映し出すという思い切った演出。ネタの切り口がすごい。

●同時上映(コント)

スヌーピー」と「爆走兄弟レッツ&ゴー」を映画の予告風に同時上映するという前フリのVTRの後、この2つの世界観がミックスされたコントが展開されるネタ。相当わけがわからない作りで、最初はどういうコントなのか分からなかったんだけど、徐々にネタの構造が分かってくるとそれほど無茶な内容ではなく普通に理解して楽しめるコントだった。この全く無関係のアニメを掛け合わせて一個のストーリーを作るというのはシュールレアリスムそのもの。Aマッソがイタいのは、こういう実験的で型破りなネタをやっても、無理をしていきがってるという風ではなく、寧ろコンビの自然な魅力に感じられる所。

●痛いの関係ない(漫才)

5〜6分ある中で笑いが起き始めるのは3分くらい経ってから、それまでは加納さんの何だかよく分からない話をとにかく聞くという構成で、賞レースで勝つ漫才の真逆を全速力で進んでるような感じがして、不安にも思うし頼もしくもある。こういうふてぶてしくて、自分達の面白いと思う事をそのままダイレクトに出して、客に遠慮しないスタンスのコンビの出現をどこかで待っていた部分はある。このネタはもう一つに感じたけど、1、2本目の漫才を見る限り、十分今年のM-1決勝候補だと思う。まあテレビとかM-1の話は別として、この人達は唯我独尊を貫いて面白い漫才とコントをやり続けてほしい。