M-1グランプリ2019 ニューヨーク編

自分はニューヨークは結構好きで、今回のネタも面白いと思った。友人に言わせると「尖り方が好きじゃない」という評で、自分はそれに共感しつつも「尖り方は好きじゃないけど、ニューヨークは好きだ」という更に一周捩じれたような複雑な感情を抱いている。「ニューヨークの尖り方」について、説明するのは野暮ったいけど、いわゆる陽キャと言われる人達や、女性、若者をクラスの目立たない陰キャの男子が突っ込んだり、小馬鹿にするというのがニューヨークが得意とするスタイルだと思っている。その手法が安易に見えたり、狭量に感じられたりするので、自分もニューヨークの尖り方が好きじゃないという所に共感できる部分はある。価値観の多様性を狭めてしまうようなつまらなさを感じる所はある。ただ、もっと広い視点で見て、価値観の多様性を尊重するのであれば、そういったニューヨークのような陰キャの価値観も大事にしたいと思うし、面白ければ笑えば良いと思う。そこにだけ寄り添いたい訳ではないけど、ニューヨークのようなシニカルな芸風というのは、元々タイプが近い事もあって、かなり好きだ。今回のネタは、ニューヨークの真骨頂のような、開き直ったかのように吹っ切れた若者disネタで、いろんなネタを見て来たけど、やっぱりニューヨークはこういう意地の悪いネタが面白いよなあと改めて思った。トップバッター、歌ネタと点数が入り難い要素が重なっただけで、決して最下位になるような漫才ではなかったと自分は思う。それだけに松ちゃんの82点は手厳しいと少しショックに感じた。

ニューヨークは「ロケットライブ」がやっていた7年前くらいから名前を聞いたりテレビでネタを見るようになって、その当時のイメージは若手の劇場のトップで期待のホープという印象だった。その後、KOCもM-1THE MANZAIも準決勝までは進むけどそこから先へは進めず、見ている側としては「いつか決勝で見たい」という思いをずっと抱いていたので、今回は決勝に進んで満足、面白いネタをやって更に大満足という感想で、最下位というネガティブイメージはあまり感じていない。ニューヨークはコントも面白いので、今年のKOCも期待したいし、来年は歌ネタじゃなくしゃべくりのネタをM-1決勝で見たいなあと思う。